バリの祈りと暮らし

バリ島のニュピ|外出できない日をどう過ごす?準備とホテル選びの実体験

ホテルから一歩も出られないニュピの日。食事はどうするのか、退屈しないか、体調を崩したらどうなるのか、不安に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ウブドで7回ニュピを過ごしてきた60代の私たち夫婦が、ニュピの日程と旅行への影響、前日までの準備、ホテルで確認しておきたいこと、当日の過ごし方を実体験からお伝えします。初めてニュピを迎える方や、シニア世代のご夫婦の参考になればうれしいです。

私たちの体験と2026年10月時点の情報をもとにしています。日程や規制、ホテルの対応は年や施設によって変わるため、最新情報は宿泊先や航空会社にご確認ください。

朝焼けの空の下、ヤシの木と田んぼが静かに広がっているニュピの朝の風景。

ニュピの朝。いつもなら聞こえるバイクや車の音がなく、静けさに包まれていました。

  1. 結論|前日までに丸1日分の食料をそろえ、ホテルに4点を確認すれば落ち着いて過ごせる
  2. ニュピとは?|バリ島の新年を迎える「静寂の日」
    1. ニュピはいつ?2027年の日程
    2. 守られる4つの戒め「Catur Brata Penyepian」
  3. ニュピ当日、旅行者への影響|外出・空港・通信
    1. 外出:ホテルの敷地から出られない
    2. 空港:終日閉鎖され、飛行機は発着しない
    3. 通信:モバイルデータが止まる年がある
  4. 前日までにしておきたい準備|食料・灯り・買い物の時間
    1. 食料と飲み物:丸1日分を前日の早い時間に
    2. 買い物は前日の早めの時間に
    3. 灯り:夜に部屋の外へ出るならライトがあると安心
  5. ニュピのホテル選び|予約時に確認したいこと
  6. ニュピの日に体調を崩したら|保険・持参薬・相談先
    1. 備え1:海外旅行保険の連絡先を手元に
    2. 備え2:持参薬は少し多めに
    3. 当日に体調を崩したら|まずホテルへ相談する
  7. 私たちのニュピ体験|前夜の熱気から、翌朝の新年まで
    1. 前夜:オゴオゴの熱気に包まれる
    2. 朝:音のない島で目を覚ます
    3. 昼:テラスで本を読み、写真を眺める
    4. 夜:明かりを落として過ごす
    5. 翌朝:「新しい年を迎えました」
    6. 60代になって、ニュピがいっそう心地よくなった
  8. ニュピ体験を楽しむための Q&A
  9. まとめ|ニュピを迎える前に、この4つを確認しよう

結論|前日までに丸1日分の食料をそろえ、ホテルに4点を確認すれば落ち着いて過ごせる

ニュピ当日は、朝6時から翌朝6時まで外出できません。準備のポイントは次の2つです。

  • 前日の早い時間に、丸1日分の食料と飲み物をそろえる
  • ホテルに「食事・Wi-Fi・当日のスタッフ・夜間の連絡先」の4点を確認する

この2つさえ押さえておけば、ニュピは「何もできない日」ではなくなります。私たちにとっては、バイクの音も人の声も消えた島で、静かに過ごす特別な一日になっています。

ニュピとは?|バリ島の新年を迎える「静寂の日」

ニュピは、バリ・ヒンドゥー教のサカ暦の新年にあたる日です。朝6時から翌朝6時までの24時間、島全体が活動を止めます。

ニュピはいつ?2027年の日程

ニュピは毎年、3月前後(まれに4月)にあります。サカ暦に従うため、日付は年ごとに変わります。

2027年のニュピは3月8日(月)です。 インドネシア政府が発表した2027年の祝日一覧で確認しています。前日の3月7日(日)には、オゴオゴのパレードが行われます。

守られる4つの戒め「Catur Brata Penyepian」

ニュピの日には、次の4つの戒めが守られます。

  1. 火や明かりを使わない
  2. 仕事をしない
  3. 外出しない
  4. 娯楽を控える

ホテルのスタッフからは、「島が活動を止めるのは、悪霊に“無人の島”だと思わせるため」と教わりました。ニュピは、信仰と暮らしが深く結びついた行事なのです。

ニュピ当日、旅行者への影響|外出・空港・通信

外出:ホテルの敷地から出られない

旅行者も、ホテルなど滞在先の敷地から外へは出られません。通りでは、プチャラン(伝統的な自警団)が見回りをしています。敷地内のテラスや庭では過ごせます。

空港:終日閉鎖され、飛行機は発着しない

ングラ・ライ国際空港は、ニュピの24時間は閉鎖され、発着便がありません。到着日や出発日がニュピに重ならないように、航空券を手配する前に日付を確認してください。長期滞在の私たちは、ニュピの数日前後は、到着・出発に充てないようにしています。

通信:モバイルデータが止まる年がある

近年は、ニュピ当日にスマートフォンのモバイルデータ通信が止められる年があります。ホテルのWi-Fiは使えることが多いものの、対応は宿によって異なります。

私たちが過ごした2026年は、ホテルのWi-Fiがつながり、スマートフォンでSNSも使えました。一方、モバイルデータ通信は止まっていました。

【関連記事】ニュピ当日の通信環境が不安な方は、SIM・eSIM・ホテルWi-Fiの選び方も事前に確認しておくと安心です。
▶︎ ウブド長期滞在のSIM・eSIM|選び方と使い方

前日までにしておきたい準備|食料・灯り・買い物の時間

食料と飲み物:丸1日分を前日の早い時間に

ニュピ当日は、ホテルの食事サービスも多くが通常どおりではありません。前日までに、次のいずれかで食事を確保しておきます。

  • ホテルにニュピ用の食事プランがあるか確認する
  • スーパーなどで食料を買っておく
  • 街で見かける「ランチパック予約」を利用する

私たちが滞在したテガルサリでは、前日に、併設レストラン・セメスタが宿泊者用に営業していると案内がありました。スタッフの人数が限られ、限定メニューということでした。以前宿泊したコマネカや、ピタマハではランチパックが用意されていました。

こうした対応はホテルによって異なるので、予約時に確認しておくといいと思います。

私たちは、ニュピらしい1日にしたかったので、滞在しているプンゴセカンの宿(テガルサリ)近くのスーパーCOCOで、食料を調達。部屋からほとんど出ずに過ごしました。何度もニュピを体験すると、不自由さのなかで夫婦2人だけで静かな時間が思い出として残ります。

木のテーブルの上に、カップ麺や果物、パン、飲み物などを並べた様子。

テガルサリ近くのスーパーCOCOで準備した、カップ麺や果物、パンなど

買い物は前日の早めの時間に

前日の夕方からは、オゴオゴの準備や行列で交通規制がかかり、閉店の早い店もあります。私たちは、午前中早めに買い物をすませています。主に利用するのはスーパーですが、フレンチベーカリーのMonsieur Spoonでクロワッサンなどを買っておくこともあります。

ニュピ前日の食料を準備するのも、一つの楽しみになっています。

【関連記事】
▶︎ ウブド中心部のスーパー比較|COCO・デルタ・ポピュラー
▶︎ Monsieur Spoon|部屋で朝食をとる

灯り:夜に部屋の外へ出るならライトがあると安心

私たちが宿泊したホテルでは、客室の照明は普段どおり使えました。ただし、夜はカーテンを閉め、室内の明かりが外へ漏れないようにしていました。照明の使用については、ホテルの案内に従ってください。

ただ、夜にバルコニーへ出たり、レセプションまで歩いたりするときは、屋外が真っ暗なので足元を照らすライトがあると安心です。大抵のホテルでは客室に懐中電灯が用意されているので、チェックイン時に場所を確かめておくといいと思います。

ニュピのホテル選び|予約時に確認したいこと

丸一日をホテルの中で過ごすため、部屋の居心地に加えて、困ったときに頼れる体制があるかどうかが大切です。私たちは、予約時やチェックイン時に次の5点を確認しています。

  • ニュピ当日の食事サービス
  • Wi-Fi・照明の利用条件
  • 当日のスタッフの常駐体制
  • 体調不良・設備トラブル時を含む、夜間の連絡方法

長期滞在では、送迎や体調不良でフロントに相談することもあります。到着したら、まずフロントの電話番号と夜間の連絡方法を確かめています。私たちが長く滞在しているテガルサリは、いずれも揃っていて安心でした。

【関連記事】私たちが長期滞在で利用するテガルサリは、いろいろな相談がしやすい宿です。
▶︎ ウブド・テガルサリで1か月暮らすように過ごせる理由と注意点
▶︎ ウブドで困ったときはホテルへ|私たちが体験した、体調不良やわからないことへのサポート

ニュピの日に体調を崩したら|保険・持参薬・相談先

ニュピ当日でも、急病やケガのときは受診のための移動が認められることがありますが、普段のように自由には動けません。そのため私たちは、ニュピをはさむ滞在では「保険・持参薬・ホテルへの連絡方法」をいつも以上に確認しています。

備え1:海外旅行保険の連絡先を手元に

私たちは、24時間日本語で相談できるアシスタンスサービス付きの海外旅行保険に入っています。出発前に連絡先と使い方を確認し、保険証券番号もすぐ取り出せるようにしています。

【関連記事】 体調を崩した時に、受診が必要かどうか、どの医療機関に相談すればよいか、キャッシュレス診療に対応できるかなどを確認できます。
▶︎ アシスタンスサービスで頼めること

備え2:持参薬は少し多めに

ニュピ当日は薬局にも行けません。常用薬に加えて、整腸剤、解熱鎮痛薬、胃腸薬など、普段使っている薬を少し多めに用意しています。

*持参薬の内容や量は、体調や持病によって異なります。具体的には医師・薬剤師にご相談ください。

【関連記事】
具体的な持参薬については、どのようなものが役立つかを別記事でまとめています。
▶︎ ウブド滞在に持参している薬と衛生用品

当日に体調を崩したら|まずホテルへ相談する

高熱、強い腹痛、繰り返す嘔吐、呼吸の苦しさ、脱水、転倒による強い痛みなどがあれば、早めにホテルへ相談します。あわせて保険のアシスタンスサービスにも連絡し、医療機関につないでもらう流れを想定しています。

私たちのニュピ体験|前夜の熱気から、翌朝の新年まで

前夜:オゴオゴの熱気に包まれる

ニュピの前夜、ウブドの通りは、オゴオゴを担ぐ若者と見物客で埋まります。太鼓とガムランの音が夜遅くまで響き、街全体が熱を帯びます。この賑やかさがあるからこそ、翌日の静けさがいっそう深く感じられます。

【関連記事】ニュピの時期に滞在するなら、前夜のオゴオゴもあわせて体験できる貴重な機会です。鑑賞場所や混雑の様子、準備段階の雰囲気については、別記事で詳しくまとめています。
▶︎ ウブドのオゴオゴ祭り|見どころ・場所別の違い・混雑対策

朝:音のない島で目を覚ます

翌朝、耳を澄ましても、バイクの音も人の話し声も聞こえません。聞こえるのは、鳥のさえずりと風の音だけでした。いつもなら聞こえる、庭を掃く箒の音もありません。誰も働いていない朝は、島の暮らしそのものが休んでいるようでした。

昼:テラスで本を読み、写真を眺める

部屋から出るのはバルコニーくらい。昼間はそこでで、夫は写真を眺め、私は本を読んで過ごしました。ときどき昼寝をして、コーヒーを飲んだりビールを飲んだりしながら、ただ風に吹かれます。

「自分たちのためだけに、こんなにゆっくり過ごしたのはいつ以来だろう」と思うほど、時間が穏やかに流れていきました。二人とも口数は少なくなり、その沈黙が心地よく感じられました。

夜:明かりを落として過ごす

夜になると、屋外の明かりはほとんど消えます。私たちもカーテンをぴったり閉め、部屋の明かりが外へ漏れないようにして過ごしました。

ウブドのニュピの夜は、降るような満天の星を期待していました。空は晴れていたものの、星は思っていたほどではありませんでした。それでも、明かりの消えた島の深い暗闇と静けさは、ニュピの夜ならではのものでした。

翌朝:「新しい年を迎えました」

ニュピが明けると、やわらかな朝日が差し込み、街がゆっくり動き出します。澄んだ空気に、花の香りと湿った土の匂いが混じっていました。

スタッフの「新しい年を迎えました」という挨拶に、日本のお正月とは違う、静かな喜びと安堵を感じました。私たちも経験するたび、何かがリセットされたようなすっきりした気持ちになれるのが、不思議です。

最初のニュピでこの感覚を味わってから、私たちはニュピを滞在日程に組み込むようになりました。

60代になって、ニュピがいっそう心地よくなった

60代になった今は、観光地を次々に巡るより、静かに過ごす時間が心地よくなりました。外出できないニュピの一日は、旅の途中で立ち止まる、ちょうどよい時間です。

以前は「一日ホテルから出られない」と聞いて、退屈しそうだと心配していました。今では、動かずにウブドの静けさを味わうことも、長期滞在の楽しみのひとつです。

ニュピ体験を楽しむための Q&A

Q. ニュピの日は本当にホテルの外へ出られませんか?

はい。観光客も、ホテルの敷地から外の通りへは出られません。敷地内のテラスや庭では過ごせます。急病のときの対応は普段と異なるため、ホテルの連絡方法を事前に確認しておきましょう。

Q. ニュピの日に、飛行機でバリ島へ到着・出発できますか?

できません。ニュピの24時間は空港が閉鎖されます。前日までに到着し、出発は翌日以降にしてください。

Q. 一日ホテルにいて、退屈しませんか?

私たちは、読書や写真の整理、昼寝をして過ごしています。バルコニーから見える田んぼの広がりは、眺めているだけで時間がたっていきます。人の営みが止まったニュピの日でも、椰子の木をリスが駆け上がり、猿はバルコニーの手すりを歩いていきます。

電子書籍や映画は前日までにダウンロードしておくと、通信が使えなくても安心です。

Q. ニュピの前日は、何時ごろまでに買い物を済ませればよいですか?

店の営業時間は年や場所によって変わります。前日の夕方からはオゴオゴの行列や交通規制もあるため、早めの時間に済ませておくと安心です。私たちは前日の午前中に済ませています

Q. ニュピの時期にバリ旅行をするのは避けたほうがいいですか?

空港の閉鎖と外出制限を理解し、準備をしておけば、避ける必要はありません。オゴオゴを見るなら、翌日は空港も閉まるため、必然的にニュピもバリで過ごすことになります。熱気の夜から静寂の一日へ、その移り変わりを体ごと味わえるのは、この時期ならではです。

まとめ|ニュピを迎える前に、この4つを確認しよう

  • ニュピの日付を確認し、到着日・出発日が重ならないようにする
  • ホテルに、食事・Wi-Fi・当日のスタッフ・夜間の連絡先を確認する
  • 前日の早い時間に、丸1日分の食料と飲み物をそろえる
  • 常用薬と保険の連絡先を手元にまとめておく

準備さえ整えておけば、ニュピは避ける日ではなく、バリ島の静けさを味わう特別な一日になります。前夜の熱気、当日の静寂、翌朝の新年。日程が合うなら、ぜひ旅程に組み込んでみてください。

【関連記事】ニュピの静寂とはまた異なる形で、バリの人々の信仰と日常が色濃く感じられる行事が、ガルンガン/クニンガンです。祖霊を迎え、家族や集落が祈りに包まれるこの期間については、詳しい別記事があります。
▶︎ バリのガルンガンとクニンガン|10日間の流れと過ごし方や見ておきたい風景
【関連記事】ニュピ、オゴオゴをはじめバリ島の主要な行事や舞踊全体をまとめた記事もあわせてご覧ください。
▶︎ 「バリの祈りと暮らしカテゴリー」一覧

この記事を書いた人|じゃんぱらぎ夫婦
ウブドに通い初めて20年あまり、15年ほど前からの夫婦二人のウブド旅では、ほとんど毎回ニュピに合わせて日程を組んでいます。外出せず、何もしない一日をゆっくり味わう、年齢を重ねた今だからこそわかる贅沢です。この記事では、そんなバリならではのニュピ体験をお伝えしています。

 

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