バリの祈りと暮らし

スマラ・ラティ舞踊団|20回以上観た夫婦が伝えるバリ舞踊とガムランの魅力・席選び

ウブドでバリ舞踊を観るなら、どの公演を選べばいいか迷いますよね。

この記事では、バリに約30年、ウブドには20年以上通い、スマラ・ラティ舞踊団(Semara Ratih)の公演を20回以上観てきた私たちが、この舞踊団の魅力を紹介します。初めてバリ舞踊を観る方や、踊りだけでなくガムラン演奏もじっくり味わいたい方に向けた記事です。

公演日・会場・料金、主な演目、席の選び方、持ち物まで、実際に通って分かったことをまとめています。

本記事は、私たちが実際に鑑賞した体験と2026年10月時点の情報をもとにまとめています。なお、本記事は舞踊団や関係施設から依頼・提供・報酬を受けて作成したものではありません。
バリ風の装飾が施された舞台で、スマラ・ラティ舞踊団の楽団がガムランを演奏している様子。

舞踊だけでなく、楽団演奏も魅力のスマラ・ラティ

スマラ・ラティは「踊りとガムランの一体感」を味わえる公演

スマラ・ラティの魅力を一言でいうと、踊り手だけでなく奏者まで含めて、舞台全体が生き生きしていることです。踊りを伴わないガムラン演奏だけの演目もあり、奏者の手さばきや表情までじっくり楽しめます。

公演の要点(2026年10月時点)

  • 公演日:毎週土曜日 19:30開演(21:00ごろ終演)
  • 会場:プラ・ダラム・ウブド(ウブド王宮から、ラヤ・ウブド通りを西へ約400m)
  • 料金:100,000ルピア(約1,000円)。会場入口で購入、現金のみ
  • 席:自由席。良い席で観るなら、開演の1時間前をめやすに到着
スマラ・ラティ舞踊団の公演日時や写真が掲載された、会場入口付近の案内看板。

会場入り口は、この看板を目印に。

▶︎ スマラ・ラティ:公式サイト /会場Google地図:Pura Dalem Ubud地図

* 公演日時、会場、料金、演目、チケットの購入方法は変わることがあります。鑑賞前に、宿泊先、現地の案内所、会場などで最新情報をご確認ください。

スマラ・ラティ舞踊団とは

創設者アノム・バリス氏と舞踊団の歩み

スマラ・ラティ舞踊団は、バリ舞踊の名手として知られるアノム・バリス氏を中心に活動してきた舞踊団です。現在は、舞踊とガムランを組み合わせた公演を続けています。

バリの石壁を背景に、白いTシャツ姿の男性

アノム氏宅近くの「スレッズ・オブ・ライフ」へ出かけた際、偶然お会いした時の写真

バリ舞踊には、寺院の祭礼や村の行事で奉納されるものもあり、信仰や暮らしと深く結びついています。私たちも、寺院の祭礼や葬送の場で舞踊が奉納される様子を見てきました。

スマラ・ラティの舞台を何度も観るうちに感じたのは、伝統の型を大切にしながら、観客を楽しませようとする姿勢です。

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▶︎ プレボン前夜|蝋燭の光の中で奉納されたワリ舞踊

創設当初を知る奏者から聞いた話

創設当初から関わってきた奏者のひとりに、当時の話を聞いたことがあります。「観客が10人来れば大成功。雨が降れば公演は中止。楽器を運ぶだけでも大変だった」そう笑いながら話してくれました。

今の公演からは想像しにくい話ですが、観客の少ない時代から演奏や舞踊を続けてきたことが伝わってきました。

スマラ・ラティの見どころと主な演目

踊りとガムランの一体感

戦いの場面では、太鼓の音が胸を突き刺すように響きます。恋物語の場面では、踊り手の切ない表情に胸が熱くなります。同じ演目でも、日によって演奏の熱量や踊り手の感情表現が変わります。そのため、何度観ても新しい感動があります。

ガムラン奏者も、ときには踊り手と一緒に体を揺らしたり掛け合いをしたりと、舞台全体の一体感が伝わってきます。

ハノマン役の踊り手が、舞台上で奏者に向かい合っている場面。

ハノマンを演じる踊り手に向ける、奏者の笑顔にも惹きつけられます。

私たちが毎回観てきた主な演目

演目は変わることがありますが、私たちが観た回では、アノム氏のバリスとアユ氏のタルナ・ジャヤが毎回上演されていました。この2演目だけでも見応えがあります。

  • バリス:勇ましい戦士を表す男性の踊り。アノム氏の舞は、力強さと神秘的な雰囲気をあわせ持っています。
  • タルナ・ジャヤ:若者の情熱を表す、躍動感のある踊り。アユ氏の舞は、気迫と優雅さが一体になっています。
  • レゴン:華やかな衣装と扇の動きが美しい、バリ舞踊の花形です。
  • バロン、ハノマン、トペン:アノム氏はバリスのほか、聖獣バロン、猿の勇者ハノマン、仮面劇のトペンなども演じています。
伝統衣装を身につけた男性が、寺院風の舞台でバリスを踊っている。

ウブド随一の踊り手ともいわれるアノム氏の「バリス」。力強くも神秘的です。

紫と金色の衣装でタルナジャヤを踊るバリ舞踊の女性

アユ氏の気迫と優雅さが一体となった「タルナ・ジャヤ」。切れ味のある踊りに引き込まれます。

レゴンダンスを踊る2人のバリ舞踊の女性

華やかな衣装と扇の動きが美しい、バリ舞踊の花形レゴンダンス。

寺院風の舞台で、バロンの踊り手とガムラン楽団が並んでいる様子。

アノム氏が演じるバロン。舞台近くで観ると、その迫力がいっそう伝わります。

スマラ・ラティならではの、ガムラン演奏だけの演目

私たちが観てきた回では、演目は7〜8ほどでした。そのうち1〜2演目は、踊りを伴わないガムラン演奏です。

ほかの公演では、ガムランは踊りの伴奏として耳に入ってくることがほとんどでした。スマラ・ラティでは、舞台の主役が奏者たちになる時間があります。これが、私たちがこの舞踊団に通い続ける大きな理由のひとつです。

まるでジャズのような、体に響くリズム

初めてガムランだけの曲を聴いたとき、体の中にリズムが刻み込まれていくような感覚になりました。緩やかに始まったかと思えば、一気に速く激しくなり、ぴたりと止まる。その緩急は、まるでジャズのセッションを聴いているようでした。

帰り道でもずっと余韻が残り、気がつくと体が自然と揺れていました。

奏者の表情と掛け合いを見る楽しさ

演奏だけの演目で、ぜひ見てほしいのが奏者の表情です。互いにアイコンタクトをとり、微笑みを交わしながら、音を重ねていきます。演奏しているみなさんの楽しそうで誇らしげな様子は、踊りと同じくらい胸に響きます。

観客が10人来れば大成功だった時代から演奏を続けてきた、と話してくれた奏者の言葉を思い出すと、その誇らしげな表情がいっそう心に残ります。

ガムランを演奏するバリ舞踊公演の楽団

ガムラン演奏中の奏者は実に楽しそうです。

手さばきの見事さは、席で変わる

ガムランの見どころは、音だけではありません。鍵盤を打つ手、音を止める手、太鼓を打つ手が、驚くほど速く正確に動きます。最前列の端に座れば奏者の手元まで、はっきり見ることができます。(席の選び方は、後の「鑑賞のコツ」で詳しく紹介しています。)

赤と金色のガムラン楽器の前に座り、演奏する奏者たちを後ろから見た様子。

ガムラン演奏を後ろから見ると細かな手さばきがよくわかります。

日本語の解説パンフレットがあることも

私たちが観た夜には、英語や日本語で書かれた、各演目のあらすじのパンフレットが配られていました。物語の流れを追いながら観られるので、初めてのバリ舞踊でも、場面ごとの意味がよくわかります。

日本からの旅行者が「こんなにわかりやすい舞台は初めて」と喜んでいたのも印象に残っています。

20回以上観てきた私たちの体験

アノム氏のバリスを観たときの衝撃と、ガムランだけの演奏を初めて聴いたときの胸の高鳴り。それ以来、私たちはウブドに行くと、毎週のようにスマラ・ラティを観るようになりました。

初めて観た夜の忘れられない光景

私たちが初めてスマラ・ラティの舞台を観たのは、ウブド中心部から少し外れたクトゥ村の集会所でした(現在の会場はプラ・ダラム・ウブドです)。夕暮れとともにランプが灯り、椅子を並べただけの簡素な会場でした。それでも開演30分前には前方の席が埋まり、熱気に包まれていました。

照明が落ちると、静まり返った客席の後方から、きらびやかな衣装の踊り手が優雅に舞いながら入場してきます。続いてガムランの音色が少しずつ近づいてきて、胸が高鳴っていくのを感じました。

アノム氏の力強いバリス、アユ氏の優雅で切れ味のある踊り、楽しそうに掛け合う奏者たち。そして、この夜に初めてガムランだけのオリジナル曲を聴きました。そのときの楽曲が、いつまでも耳に残りました。

世代を超えて受け継がれる舞|アノム氏の孫のバリス

ある夜の公演の最後に登場したのは、アノム氏のお孫さんでした。まだ幼いながら戦士の舞バリスを堂々と舞い、会場からは大きな拍手と「ブラボー」の声が上がりました。

色鮮やかな伝統衣装を身につけた子どもが、舞台でバリ舞踊を踊っている。

堂々とした舞に会場からは「ブラボー」の声があがりました。

アノム氏によると、正式に教わったというより、祖父の舞を見よう見まねで覚えたのだそうです。指先から足先まで緊張感が通い、小さな体から強い意志が伝わってきました。舞踊が家族の日常の中で受け継がれていることを感じた場面でした。

次に訪れるとき、この少年はどんな舞を見せてくれるのだろう。その成長を楽しみに、次のウブドへの旅を考えた一夜でした。

公演後の楽しみ|奏者との交流

奏者たちは、公演が終わるとすぐに衣装のまま帰路につきます。お願いすると一緒に写真を撮ってくれることもあり、私たちも何度か撮らせてもらいました。一方、踊り手は出番が終わるとすぐに帰ってしまうことが多く、終演後に会えることはあまりありません。

お孫さんが舞った夜は特別で、アノム氏とお孫さんを囲んだ撮影会になりました。舞台を降りても存在感のあるアノム氏ご夫妻に会えたのは、忘れられない幸運なひとときです。

バリ舞踊の公演後、舞台前に集まった観客が出演者たちを撮影している様子。

公演後の撮影会。撮影者の中にアノム氏も(左から4人目)

バリ舞踊の公演後、階段の前で出演者と観客が行き交っている様子。

帰途につくアノム氏とアユ氏

スマラ・ラティ鑑賞のコツ|席・到着時間・持ち物・トイレ

席の選び方|観たいもので選ぶ

席は自由席です。私たちが観てきた公演では、たいてい最前列から埋まっていきました。

  • 踊りを観るなら、最前列の正面
    バリ舞踊の見どころは、目や手先、足先の鋭い動きと、くるくる変わる表情です。前に座るほど臨場感が増します。
  • ガムラン演奏を観るなら、最前列の端か舞台の横
    奏者の手さばきがよく見えます。私たちも、奏者の卓越した技をじっくり見たい日は、あえて舞台の横を選びます。

到着時間|開演の1時間前がめやす

良い席で観るなら、開演の30分〜1時間前には到着しておくと良い席を選べます。私たちは毎回1時間前に会場に着くようにしています。次々と到着する楽団員の談笑が聞こえてきたり、近所の子どもたちがはにかみながら覗き込んできたり。そんな様子を眺めるのも、開演前の楽しみです。

持ち物

会場は屋内ですが、開放的なつくりなので、次のものがあると役立ちます。

  • 暑い日:扇子、汗拭きシート
  • 涼しい日:薄手の羽織もの
  • いつでも:虫よけ、ポケットティッシュ

トイレ

トイレは会場の外にあります。会場すぐ横ではありませんが、場所の表示はわかりやすく出ています。整備はされていますが、私たちはホテルや途中で寄ったレストランで済ませてから会場に向かうようにしています。

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初めて観る方が知っておきたいQ&A

Q. 予約は必要ですか?

予約は不要ですが、早めに会場へ行けない場合は、ホテルに相談してみてください。ホテルによっては、席の確保までしてくれることがあります。チケットは会場の入口で購入できます(現金のみ)。
▶︎ ウブドで困ったらホテルに相談|体調不良・紛失・分からないことで助けてもらった

Q. 公演の時間はどのくらいですか?

19:30に開演し、終演は21:00ごろです。私たちの経験では、21:00を過ぎることはありませんでした。

Q. 言葉がわからなくても楽しめますか?

楽しめます。私たちが観た回では、言葉がわからなくても困る場面はありませんでした。演目の説明は、私たちが観た夜には、英語や日本語の解説パンフレットが配られていました。

Q. 途中で席を立つことはできますか?

いつでもできます。会場が真っ暗になることはないので、足元の心配はあまりありません。私たちは、演目の間で立つようにしています。

Q. 終演後はすぐに帰れますか?

帰れます。終演後は観客が一斉に動きます。それでも、会場も出口までの道も比較的広いので、私たちが観たときは混み合うことはありませんでした。通りまでスムーズに出られました。

まとめ|ウブドの土曜の夜はスマラ・ラティへ

踊り手も奏者も、舞台全体が生き生きとしているスマラ・ラティ。同じ演目でもその日の演奏や表情で印象が変わるので、私たちは20回以上観ても飽きることがありません。

初めてバリ舞踊を観る方にも、ガムランをじっくり聴きたい方にも、おすすめできる公演です。

鑑賞前のチェックリスト

  • ウブド滞在が土曜日にかかるなら、夜の予定に入れておく
  • チケット代として現金を用意する(2026年の料金:Rp100,000)
  • 開演の1時間前をめやすに到着する(難しければホテルに相談する)
  • 踊りを観るなら正面、ガムランを観るなら端か舞台の横の席を選ぶ
  • 虫よけと羽織ものを持ち、トイレは事前に済ませておく
  • 当日の公演情報を、宿泊先や案内所で確認する

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【この記事を書いた人|じゃんぱらぎ夫婦】
ウブドに20年以上通っていますが、その目的の一つがスマラ・ラティ鑑賞です。ほかにも、必ず訪れる場所、観るもの、買うもの、食べるものがあります。このブログでは、夫婦で楽しむバリの旅をお伝えしています。

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