バリ島では、寺院にお参りするときや行事に参加するときに、服装のきまりがあります。
私たちも、バリに通い始めた頃は、寺院の入口で周りの人がサロンを巻いているのを見て、「私たちも巻いたほうがいいのかな」と、その場で真似をするような状態でした。
行事のときも、正装した人たちを街で見かけてはいましたが、クバヤやウダン、腰に巻く布それぞれに意味があることまでは知りませんでした。
何度も寺院や祭礼を訪れ、現地の人やホテルのスタッフに教えてもらううちに、少しずつ基本的な決まりがわかり、服装で迷うことも少なくなりました。
この記事では、バリ島で寺院参拝や行事に参加するときに気をつけたい正装・服装、観光客として知っておきたいマナーを、私たちの体験をもとにまとめます。

行事の時の正装姿。観光客もサロンを巻く人がいます。
バリ島における「正装」とは何か
バリ島の正装は、単なる「民族衣装」ではなく敬意の表現
バリ島の正装は、単なる民族衣装としてではなく、神聖な場所や行事に向かうための敬意の表現として考えると理解しやすくなります。
寺院参拝や宗教行事の場で、神聖な場所に入るために身なりを整えること自体が、「正装」に近い意味を持つと考えるとわかりやすいです。
日本でいえば、神社に行く際に極端に肌を露出した服装を避ける、その感覚に近いものです。
正装とは、場と信仰への敬意を形で示す装いだと考えると理解しやすいでしょう。
日常の中に溶け込む正装という考え方
ガルンガンなどの宗教行事がある日は、レストランやホテルでも、正装姿のスタッフをよく見かけます。
宗教行事の日には、仕事をしながらでもその日の意味を大切にし、身なりを整える。そうした姿からは、信仰が生活の一部として根付いていることが感じられます。
私たちが滞在しているホテルでも、行事の日になると、いつものユニフォームではなく正装姿で仕事をしているスタッフを何度も見てきました。
朝は通常の服装だったスタッフが、お供えやお祈りの時間になると正装に着替えていることもあります。
長く滞在していると、こうした姿を特別な催しとしてではなく、日常の一場面として目にします。私たちにとっても、「今日は何か行事があるのかな」と気づくきっかけになるようになりました。
その姿を見ていると、正装は単なる仕事上の衣装ではなく、信仰と暮らしがつながったものなのだと感じます。
正装で最も重要なのは「腰から下を布で覆うこと」
バリの正装で最も重要なのは、男女ともに腰から下を布で覆うことです。カマン(サロン)を腰に巻くことは、宗教的な場に入る際の基本的なマナーとされています。
ズボンやスカートの上から巻いても問題なく、多くの寺院では観光客向けに貸し出し用サロンも用意されています。正装の本質は、特別な服を着ることではなく、下半身を布で整える姿勢にあります。
サロンを自分たちでも用意して出かける
私たちも最初の頃は、サロンを渡されても、どちらを前にして、どのくらいの高さで巻けばよいのかさえ分かりませんでした。
寺院の入口で係の人に巻いてもらったり、現地の人の巻き方を見よう見まねで真似したこともあります。
何度か経験すると、「寺院に入るときはサロンを巻く」ということ自体が特別ではなくなり、今では必要になりそうなときには、自分たちでも用意して出かけることがあります。
知っておきたい|バリの正装を構成する基本アイテム
観光客が、バリの正装をすべて身につける場面は多くありません。
それでも、現地の人がどのような装いで寺院や行事に参加しているのかを知っておくと、バリの正装が単なる民族衣装ではなく、祈りの場にふさわしい身なりを整えるためのものだと分かりやすくなります。
バリの人たちが大切にしている敬意の形を知るために、基本的なアイテムを見ておきましょう。
下の図は、寺院参拝や宗教行事の際に用いられる、バリ島の基本的な正装を、女性・男性それぞれについて示したものです。細かな装飾や着こなし以上に、バリの正装が何を大切にしているかを理解するための「基準」として見ることができます。

行事などでみる正装には、それぞれに意味があります。
女性の正装に使われるアイテムと意味
クバヤ(上衣)と露出を抑える考え方
女性が着用しているのがクバヤと呼ばれる上衣です。肩や胸元の露出を抑え、きちんとした印象を与える服装で、寺院参拝や祭礼の際に着用されます。
袖は肘を覆う長さとされていますが、最近は、若い女性が短い袖のクバヤを身につけているのも見かけます。
観光客が必ず着る必要はありませんが、現地の人がどの程度整えているかを知る目安になります。
カマンとスレンダンの役割
カマン(サロン/腰布):
腰から足首近くまで覆う布です。男女共通で、正装において最も重要な要素とされています。
スレンダン:
腰の位置で結ばれている帯状の布です。単なる装飾ではなく、心を引き締め、祈りの場に向かうためのものとされています。
男性の正装に使われるアイテムと意味
ウダン(頭布)が持つ宗教的な意味
男性が頭に巻いている布がウダンです。思考を整え、心を集中させる意味があるとされています。
観光客が着用する必要はありませんが、帽子やキャップをかぶったまま寺院に入らない配慮は必要です。
クメジャ・カマン・スレンダン・サプッの最低限の基準
クメジャ(上衣):
清潔感があり、露出を控えた服装であれば、観光客は半袖シャツでも大きな問題はありません。
カマン(サロン):
女性と同様、腰から下を覆う布です。ズボンの上から巻いても問題なく、多くの寺院では入口で貸し出し用サロンが用意されています。
スレンダン(腰紐):
男性も女性と同様に、サロンの上から結びます。男女共通で、「正装としての完成」を示す重要な要素です。
サプッ(前掛け):
男性がサロンの上から垂らす布です。これは正装としての格式を高める役割があります。
足元はサンダルでも問題ない理由
寺院参拝や宗教行事の際も、履き物はサンダルで大丈夫です。寺院では靴を脱ぐ場面も多いため、脱ぎ履きしやすいサンダルは実用的でもあります。

祭礼や行事の時は、大人も子どもも正装姿で街を行き交います
観光客はどこまで正装を用意すべきか【場面別】
観光客が、すべての装いを揃える必要はありません。ウダン(頭布)やサプッ(前掛け)は、主に現地の人の正式な装いです。観光客が必ず用意する必要はありません。
以下の基準を知っているかどうかで、服装の判断はぐっと楽になります。
・腰から下を布で覆う
・露出の多い服装を避ける
その場に合わせることが大切
私たちも、この基準を知ってからは、祭礼や寺院を見学するときには肌を露出しすぎない服装を選び、必要に応じてサロンを巻くようになりました。
正装した地元の人たちに交じって歩いていると、笑顔で声をかけてもらったり、こちらを見て微笑んでもらったりすることがあります。
もちろん服装だけが理由とは言えませんが、少なくとも「その場に合わせようとしていること」は伝わっているのかな、と感じます。
以下では観光客が直面しやすい場面ごとに、正装の目安を整理します。
観光として寺院の敷地内に入る場合(もっとも多いケース)
多くの旅行者が該当するのがこのケースです。最低限守りたい服装の目安は以下です。
- 上半身:肩や胸元を大きく露出しない
- 下半身:膝より上を露出しない
- サロンを巻けば、より望ましい
多くの寺院では入口でサロンの貸し出しがあり、観光客でもその場で整えられることが多いです。
地元の祭礼や儀式に招かれた場合
村の祭礼や、知人・宿の関係者から正式な宗教行事に招かれた場合は、可能な範囲で正装に近い服装を整えることが望ましいとされています。観光とは位置づけが異なります。
この場合は、
- サロンを着用する
- スレンダンを結ぶ
- 上半身の露出を控える
- 男性はウダンを巻く
観光客であっても、招かれた場では「整えようとする姿勢」そのものが敬意になります。必要になった場合は、滞在の宿に相談すれば、どうすれば用意できるか教えてくれます。
迷ったときはホテルのスタッフに聞く
私たちは、服装に迷ったときはホテルのスタッフに聞くことがあります。
「この行事を見に行きたいけれど、この服装で大丈夫?」と聞くと、サロンが必要か、どこまで正装したほうがよいかなど、そのときの行事に合わせて教えてもらえます。
長く滞在するようになって感じるのは、ネットで調べるより、その場をよく知る人に教えてもらうほうが確実なことも多い、ということです。
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祭礼や葬儀を見物するときに守りたいマナー
行事は「観光の見せ物」ではなく、地域の人々にとって大切な祈りの時間です。少し距離を取り、邪魔をしない位置から静かに見守る姿勢が求められます。
写真撮影・立ち位置で気をつけたいこと
見物の際に心がけたい基本マナーは、次のような点です。
- 行列や儀式の進行を妨げない
- 写真撮影は控えめに行う
- 祈りの場面や遺族のアップ撮影は避ける
- 大声で話したり、ふざけた行動をしない
私たちが気をつけていること
ウブドを歩いていると、祭礼の行列や葬儀に出会うことがあります。私たちも、道を歩いていて突然行列に出会い、そのまま道路脇で見送ったことが何度もあります。
そんなときは、行列の前を横切らず、邪魔にならない場所へ移動して、しばらく静かに見ています。写真を撮る場合も、まず周囲の人たちがどのようにしているかを見るようにしています。
長く通っていても、「見せてもらっている側」という感覚は忘れないようにしています。
特に注意したい葬儀の場での振る舞い
特に葬儀は、一見華やかでも、日本と同様に私的で厳粛な場です。見物する場合もそのような意識を持つことが何より大切です。
写真撮影や近距離での見物は控え、あくまで偶然目にした行事を、遠くから静かに見守るという立場を意識するとよいです。
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カーチャーターを利用|正装の貸し出しも
カーチャーターで寺院や宗教行事を巡る場合、個人では訪れにくい場所や、現地の行事に近い場面を見学することがあります。その場にふさわしい装いで参加するために、正装の貸し出しや、簡単な着付けをサービス含まれている場合もあります。事前に確認してみてください。
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服装よりも大切にしたいバリ島での姿勢
完璧さより「知ったうえで配慮すること」
バリ島では、正装をしているかどうか以上に、その場を尊重する姿勢があるかが見られます。
すべてを完璧に真似する必要はありませんが、知ったうえで配慮していること、できる範囲で整えていることは、それ自体が文化への敬意として伝わります。
長期滞在で変わっていく文化との距離感
短い旅行の頃は、祭礼や正装姿の人たちを見かけると、「今日は何か特別な日なのだろう」と眺めていました。
ところが、長く滞在するようになると、朝の散歩で正装姿の家族とすれ違ったり、ホテルのスタッフが正装に着替えてお供えをしていたり、夕方になると寺院へ向かう人たちが増えたりと、宗教行事が日常の中にあることが少しずつ見えてきます。
そうすると私たちの側も、「今日は行事がありそうだから、寺院の近くへ行くなら服装を少し考えよう」「行列に出会ったら邪魔にならない場所で待とう」と、自然に行動が変わってきました。
正装について知ることは、単に服装のルールを覚えることではなく、現地の人たちが大切にしているものを知ることなのだと思います。
Q&A|バリ島の正装と服装マナーの疑問
Q. 観光客でも正装を買ったほうがいいですか?
A. 基本的に、観光客が正装を購入する必要はありません。観光として寺院を訪れる場合、多くは服装の最低限のマナーを守れば十分です。
ただし、正装が必要な場所を訪れる観光では、カーチャーターを利用すると正装の貸し出しや着付けがサービスに含まれていることもあります。
また、祭礼の見物などで正装をしていると、現地の人からあたたかい眼差しを向けられる場面もあり、「歓迎されている」と感じることがあります。
無理に用意する必要はありませんが、長期滞在者や文化に触れる機会が多い方は、サロンを1枚持っておくと役立つ場面があります。
Q. 寺院でサロンを借りられないことはありますか?
A. 多くの観光寺院では貸し出しがありますが、すべての場所で必ず用意されているとは限りません。長期滞在や個人で寺院を訪れる予定がある場合は、薄手のサロンを1枚持っておくと安心です。
Q. 暑くて長袖は無理です
A. 半袖で問題ありません。露出を控え、清潔感があれば十分です。
Q. サンダルでも大丈夫?
A. 問題ありません。脱ぎ履きしやすいものがおすすめです。
Q. 写真撮影はしてもいい?
A. 周囲の様子を見て、控えめに行うことが大切です。
バリ島の正装は「形」よりも「敬意」
バリ島の正装は、「民族衣装を完璧に着ること」ではなく、宗教と文化への敬意を形で示すことが本質です。
観光客やシニア世代にとって大切なのは、場面を理解し、無理のない範囲で配慮すること。それだけで、バリ島での体験は豊かなものになります。
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