バリ島の寺院や祭礼を訪れる観光客に向けて、服装の目安とマナーをまとめた記事です。
肩と膝はどこまで隠すのか、サロンは借りられるのか、どう巻くのか。生理中の参拝や撮影など、服装以外に気をつけたいことも取り上げます。
私たち夫婦はバリに30年ほど通っています。ウブドには20年以上通い、15年の間に8回ほど長期滞在をしてきました。それでも通い始めた頃は、寺院の入口で周りの人がサロンを巻いているのを見て、慌てて真似をするような状態でした。

行事の時の正装姿。観光客もサロンを巻く人がいます。
観光客は「肩と膝を隠し、必要に応じてサロンを巻く」
観光客が、現地の人と同じ正装をすべてそろえる必要はありません。大切なのは、その場にふさわしい服装と振る舞いです。私たちは次の4つを意識しています。
- 寺院に入るとき:肩・胸元・膝を隠し、寺院の決まりに従ってサロンを巻く
- 祭礼や儀式に招かれたとき:観光とは別と考え、宿や招いてくれた人に服装を確認する
- 生理中のとき:寺院の敷地には入らない
- 行事を見るとき:祈りや行列の邪魔にならない場所から、静かに見守る
【場面別】観光客はどこまで正装を用意すべきか
観光で寺院に入る場合(もっとも多いケース)
私はバリでは普段ノースリーブで過ごしていますが、寺院へ行く日は肩が隠れる半袖を選びます。夫は普段ショートパンツなので、寺院に入る可能性がある日はサロンを持って出かけます。
服装の目安は次のとおりです。
- 上半身:肩や胸元が隠れる服。ノースリーブやキャミソールは避ける
- 下半身:膝が隠れる服。そのうえでサロンを巻く
- 頭:帽子やキャップは入口で脱ぐ
観光客の多い寺院では、入口でサロンを貸し出していることがほとんどで、その場で服装を整えられます。
地元の祭礼や儀式に参加する場合|正装を事前に確認
村の祭礼や、知人・宿の関係者の宗教行事に招かれた場合は、観光とは位置づけが違います。できる範囲で正装に近い装いを整えるのが望ましいとされています。
- サロン(カメン)を巻く
- 腰にスレンダン(腰帯)を結ぶ
- 上半身は、露出の少ない襟付きのシャツや長袖を選ぶ(女性はクバヤがあればなおよい)
- 男性は、可能であればウデン(頭布)を巻く
観光客であっても、整えようとする姿勢そのものが敬意として伝わります。どうやって用意すればいいかは、宿に相談すれば教えてもらえます。
タロ村のバロン祭りにカーチャーターで出かけたとき
バロンが集まる寺院に入るには正装が必要でした。私たち夫婦はサロンを持っていましたが、それだけでは足りず、カーチャーターのスタッフが、前日に正装一式を届けてくれました。その際着付けも教えてもらいました。
▶︎ タロ村のバロン祭り
▶︎ 観光・祭礼見学の移動|カーチャーターが便利

タロ村のバロン祭りやクニンガンの行事では、サロンを身につけた私たちを、現地の人たちが優しい笑顔で迎えてくれたことが印象に残っています。
迷ったときは宿のスタッフに聞く
長く滞在して感じるのは、ネットで調べるより、その場をよく知る人に聞くほうが確実な場合が多いということです。
服装に迷ったとき、私たちはホテルのスタッフに聞くようにしています。「この行事を見に行きたいけれど、この服装で大丈夫?」と聞けば、サロンが必要か、どこまで整えればよいかを、その行事に合わせて教えてもらえます。
▶︎ ウブドで困ったらホテルに相談|体調不良・紛失・分からないことで助けてもらった
サロンの借り方・買い方・巻き方
寺院の入口で借りる
観光客の多い寺院では、入口でサロンやスレンダンを貸し出しています。入場料に含まれている場合と、寄付(お布施)という形の場合があります。返すときまで汚さないよう気をつけましょう。
小さな寺院や、観光客があまり訪れない寺院では、入口に貸し出し用のサロンが用意されているとは限りません。「寺院で借りればいい」と決めず、事前に確認するか、自分のサロンを持参すると安心です。
自分用のサロンを1枚用意しておく
予定外の祭礼や寺院に出会うことも多いので、私たちは寺院に入る可能性がある日は、自分たちのサロンを持って出かけます。薄手のものなら、たたんでバッグに入れておけます。
正装のアイテムは市場でも購入できます。中でもサロンは空港や土産物店でも購入できます。私たちは、日本でも日常で使えるサロンを専門店などで購入しています。バリに出かけるときは機内の冷え対策、滞在中はスカート代わりにするなど重宝です。
▶︎ バリ土産のバティック選び|バリに30年通って分かった失敗しない選び方とウブドの店6選
巻き方は男女で違う
- 女性は体に沿って筒状に巻き、左側の布が上になるように重ねる
- 男性は前に布を余らせてヒダを作り、右側の布が上になるように重ねる
巻く向きや細かな整え方は、地域や人によって違うことがあります。

女性の巻き方。現地の人たちは自分好みのアレンジをしていることもあります。

男性用サロンの巻き方。腰の前にひだを作り、布の端を剣のように垂らすのが特徴です。
私たちも最初は、サロンを渡されても、どちらを前にして、どのくらいの高さで巻けばよいのかさえ分かりませんでした。寺院の入口では係の人に巻いてもらい、その後ホテルのスタッフに教わりました。自己流で整えるより、その場で尋ねるのが確実です。
寺院で守りたい、服装以外のマナー
生理中は寺院に入らない
バリ島の寺院では、宗教上の慣習により、生理中の女性は境内への立ち入りを控えるよう求められます。入口に注意書きが掲示されている寺院もあります。
出血のあるけがをしているときも同じように考えられているため、そうした日は寺院の外から見るだけにしましょう。
お供え物(チャナン)を踏まない・またがない
道ばたや店先、寺院の入口には、毎日小さなお供え物(チャナン)が置かれています。踏んだりまたいだりしないよう、足元に気をつけて歩きましょう。街歩きで、うっかり踏んでしまうこともありますが、何か罰則があるというわけではありません。
祈っている人より高い位置に立たない・前を横切らない
儀式の最中は、祈っている人や僧侶よりも高い位置に立たないようにします。祭壇によじ登ったり、塀に上がって撮影したりするのも避けましょう。祈っている人の前を横切らず、周りの人が座ったら自分も座るなど、周囲に合わせるのが安心です。
帽子を脱ぐ・人の頭に触れない
寺院では帽子を脱ぎます。また、バリでは頭は神聖な場所とされているため、子どもがかわいくても頭をなでるのは控えましょう。
祭礼や葬儀を見物するときのマナー
行事は観光の見せ物ではなく、地域の人々にとって大切な祈りの時間です。少し距離を取り、邪魔にならない位置から静かに見守ります。祭礼や行事の時は、大人も子どもも正装姿で街を行き交います。
行列に出会ったら|立ち位置と写真撮影
ウブドを歩いていると、祭礼の行列や葬儀に突然出会うことがあります。私たちも、そのまま道路脇で見送ったことが何度もあります。そんなときに私たちが気をつけていることは、次のとおりです。
- 行列の前を横切らず、邪魔にならない道路脇へ移動する
- 写真は控えめにし、まず周りの人がどうしているかを見る
- 祈っている場面や、遺族のアップは撮らない
- 大声で話したり、ふざけたりしない
葬儀(ガベン)を見て変わった、私たちの撮影への考え方
バリの葬儀は華やかに見えますが、日本と同じように私的で厳粛な場です。たまたま目にした行事を、遠くから静かに見守る立場を意識しましょう。近くで見たり撮影したりするのは控えます。

街を歩いていると、ときどき華やかな行列に出会います。はじめはその華やかさに近くからカメラを向けていました。それが葬列と教えてもらってからは、自然とカメラを向けるときも距離を取るようになりました。
【関連記事】ガルンガン・クニンガンや葬儀は、観光客も目にすることが多い行事です。意味や見学の心得を知っておくと、構えすぎずに見学できます。
▶︎ バリのガルンガンとクニンガン
▶︎ バリの葬式「ガベン」とウブド王家のプレボン
知っておきたい|バリの正装の意味と基本アイテム
バリ島の正装は、祈りの場への敬意の表れ
バリ島の正装は、単なる民族衣装ではなく、神聖な場所や行事に向かうための、敬意の表現です。

行事で見かける正装姿の人々。
ガルンガンなどの行事の日には、ホテルやレストランでも正装姿のスタッフを見かけます。私たちも、普段のユニフォームから正装に着替えてお供えをするスタッフを何度も見てきました。正装が特別な催しのためだけではなく、信仰と日常生活のつながりの中にあるものだと感じます。
なかでも男女に共通して大切にされているのが、腰から下をカメン(サロン)で覆うことです。観光客が寺院を訪れる場合もサロンを巻くことで、その場にふさわしい装いになります。
バリの正装を構成する基本アイテム
下の図は、寺院参拝や宗教行事の際に用いられる、バリ島の基本的な正装を、女性・男性それぞれについて示したものです。細かな装飾や着こなし以上に、バリの正装が何を大切にしているかを理解するための「基準」として見ることができます。

行事などでみる正装には、それぞれに意味があります。
女性の正装|クバヤ・カメン・スレンダン
- クバヤ(上衣):肩や胸元の露出を抑えた上衣です。袖は肘が隠れる長さが基本とされますが、最近は若い女性が短い袖のクバヤを着ている姿も見かけます。
- カメン(サロン/腰布):腰から足首近くまでを覆う布です。正装の中でもっとも大切な要素です。
- スレンダン(腰帯):腰に結ぶ帯状の布です。心を引き締め、祈りの場に向かうためのものとされています。
男性の正装|ウデン・クメジャ・カメン・サプット・スレンダン
- ウデン(頭布):思考を整え、心を集中させる意味があるとされます。
- クメジャ(上衣):白などの襟付きシャツが一般的です。
- カメン(サロン):女性と同じく、腰から下を覆う布です。
- サプット(上掛け):カメンの上から重ねる布で、正装の格式を高めます。
- スレンダン(腰帯):一番上から結び、正装を仕上げます。
足元はサンダルでも問題ない
寺院ではサンダル姿の人も多く見かけます。脱ぎ履きする場面もあるため、私たちは歩きやすく脱ぎ履きしやすい履き物を選んでいます。
30年通って感じる、正装の変化
30年ほどバリに通う中で、正装姿にも色や柄など流行があるように感じます。最近では、若い女性が短い袖のクバヤや、短めに巻きつけたサロンを身につけているのを見かけるようになりました。それでも、男女とも基本のアイテムを省いているのは見たことがありません。
【関連記事】チャナンをお供えするときも、バリの人たちは服装を整えます。私たちが見た限りでは、スレンダンは必ず巻いていました。
▶︎ バリ島のチャナンとは?花のお供え物の意味・供え方・踏まないためのマナー
Q&A|バリ島の正装と服装マナーの疑問
できます。ウブドなら、ウブド市場や周辺の通りに、サロン(カメン)・スレンダン(腰帯)・ウデン(頭布)などを扱う店があります。現地の人が普段の行事のために買い求める店なので、男性用の一式をまとめて買える店もあります。
女性のクバヤは、既製品のほかに仕立てる人も多く、サイズが合うかは試着して確かめるのが安心です。短期の旅行で一度だけ着るなら、宿やカーチャーターに相談して、レンタルや着付けをお願いする方法もあります。
どこで買えばよいか迷ったときは、宿のスタッフに聞くと、地元の人が利用している店を教えてもらえます。
膝はサロンで隠れますが、肩は隠しておくのが基本です。ノースリーブの日は、羽織るものを1枚持っていくと安心です。
ウブドでは、街を歩いていると正装姿の人が増えたり、ホテルスタッフが正装に着替えたりすることで気づくことがあります。宿に聞けば、その日の行事を教えてもらえます。
まとめ|寺院や祭礼には「隠す・借りる・控える」の気持ちで
観光客が完璧な正装をそろえる必要はありません。その場への配慮があれば十分です。
出発前に確認しておくこと
- 肩と膝が隠れる服も用意
- サロンを持って行くか、寺院の入口で借りられるか確かめる
- 招かれた行事があるなら、宿の人や招いてくれた人に服装を確認する
- 生理中の場合は、寺院の敷地に入らない予定にしておく
現地で気をつけること
- 寺院では帽子を脱ぐ
- 行列や儀式では、道を空けて静かに見守る
私たちも長く通うなかで、服装の決まりを覚えること以上に、「見せてもらっている側」として配慮することが大切だと感じるようになりました。
▶︎ バリの祈りと暮らしカテゴリー一覧
【この記事を書いた人|じゃんぱらぎ夫婦】
30年ほどバリに通い続けると、正装姿の人々に出会うことは珍しくありません。身につけているものの意味を知ると、行事や寺院を訪れる際に、観光客としてどのような準備をすればよいかも見えてきます。このブログでは、夫婦で何度もウブドの行事に触れる中で、気づいたことや感じたことをまとめています。


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