トラブル防止&安心旅ガイド

60代からのバリ島旅行|元気に楽しむためのフライト・荷物・機内対策ガイド

「直行便で一気に行くのが一番楽」──そう信じて何度も利用してきた私たち夫婦。

けれども還暦を過ぎてからは、8時間以上のフライトが体に堪えるようになり、旅のスタイルを少し変えざるを得なくなりました。

この記事では、乗継便をあえて利用して快適に移動する工夫、機内での過ごし方、持ち込み荷物のポイントを、シニア世代の実体験を交えて詳しくご紹介します。

直行便か、乗継便か──シニアにとっての最適解

バリ島へ行くなら直行便が便利。私たち夫婦も長い間そう信じて、何度も直行便を利用してきました。

しかし還暦を過ぎてからは、少しずつ事情が変わってきました。

長時間のフライトに体がついていかず、8時間エコノミーで座りっぱなしという移動は大きな負担となるようになったのです。

そこで私たちが選んだのは「あえて乗継地で一泊する」スタイル

直行便にこだわっていた頃には思いつかなかった方法ですが、実際に試してみると驚くほど快適で、旅の楽しみも広がりました。

シンガポールで一泊する旅程例

私たちの場合は、成田を午前に出発し、夕刻にシンガポールへ到着。
巨大なショッピングモールのようなチャンギ空港で、屋台風のフードコートを巡り、シンガポール料理を気軽に味わいます。

さらに夜には、航空会社が実施している無料の市内観光ツアーに参加。マーライオンや有名スポットをぐるっと巡り、短時間でも旅先気分をしっかり満喫できました。

その後は空港直結のホテルに宿泊。翌朝の便でバリに向かうと、お昼前にはウブドの宿にチェックイン。

体力温存の移動のお陰で、到着日も半日ウブドの街を散策がてらレストランでの夕食を楽しむことができました。

乗継便を快適に利用するための工夫

乗継便を利用する場合、最も気をつけたいのは乗継時間荷物の紛失です。

余裕のある乗継時間が安心

前述のように経由地で宿泊しない場合は、余裕を持った乗継時間が必要です。

以前、私たちは2時間ほどしか余裕のないスケジュールで乗り継ぎをしたことがありました。検査場の混雑で足止めを受け、急いで搭乗口に着いたときには汗だく。ようやく飛行機に乗り込めたものの、バリに到着した後は疲れ果ててしまい、数日間ぐったりと過ごすことになりました。

それ以来、私たちは「46時間の余裕を持った乗継」を心がけています。ラウンジで食事をとり、足を伸ばして休みながら本を読む。あるいは空港直結のホテルに入り、数時間でも横になって休む。
それだけで体調が驚くほど違い、到着後すぐに元気に動けるのです。

荷物トラブルへの備え

乗継便ではどうしても「荷物が届かない」というリスクがあります。私たちもその可能性を考え、二日分ほどの必要品を機内持ち込みに分けて入れるようにしています。こうした小さな備えがあるだけで、万が一トラブルに遭っても安心感がまるで違うのです。

ウブド滞在時、一緒になった日本の方から「2度乗り継ぎ便を使って2度とも荷物が 届かなかった。」と聞きました。以来、スーツケースにはGPSタグをつけ、どこにあるか追跡できるようにしています。また、紛失の際の説明に役立つよう荷物写真を撮っておくようになりました。

こうした小さな備えがあるだけで、万が一トラブルに遭っても安心感がまるで違うのです。

座席選びで変わる旅の質

飛行機の座席は単なる「場所」ではなく、長時間を過ごす「居場所」です。私たちが最も重視しているのは通路側の席

隣に声をかけずに、自由に立てるだけで腰痛やストレスが激減します。

また、非常口付近の座席や前方の広めの席を選ぶこともあります。足をしっかり伸ばせるだけで血流が良くなり、到着後の足のむくみが大きく違うのです。

ある年、思い切ってプレミアムエコノミーにアップグレードしたことがありますが、シートの幅やリクライニングの深さが快適で、到着してからの疲労感がまるで違いました。

費用は少しかかりますが、「その後の数日間を快適に過ごせる」と思えば十分に価値がある投資です。

通路側が取れず、仕方なく窓際シートになった時のこと。トイレを我慢と血流悪化で、体調を崩し足もゾウのように浮腫んでしまったのです。以来、早めに予約し確実に希望のシートが取れるようにしています。

荷物の工夫で移動を軽く

大きすぎるスーツケースは負担になる

シニア世代の旅にとって、最も堪えるのは「荷物の重さ」です。

若い頃のように大きなスーツケースを抱えて移動するのは、階段や空港内の移動だけでも体に大きな負担となります。特に、空港内での荷物検査やカウンターでの荷物預けの場面では、必ず自分で持ち上げなければならないため、スーツケースの大きさや重さは重要なポイントになります。

ランドリーと現地調達を活用

衣類についても、積極的にホテルや街のランドリーを利用することで必要量を減らしています。特にウブドのような観光地では、ほとんどのものが現地で手に入ります。あれこれ詰め込むよりも、「足りなければ現地で買う」くらいの気持ちで出発したほうが、荷物も心もずっと軽くなります。

軽量スーツケースを2つに分ける

さらに、70リットルを超える大きなスーツケースはあえて避けています。私たちが選んでいるのは60リットル前後の軽量スーツケースを2つに分けて持つスタイル。その方が階段や細い通路でも扱いやすく、体への負担がぐっと少なくなるのです。

スーツケースの中身は必ず夫婦で分散してパッキングしています。夫のスーツケースが丸一日遅れて届いたことがあったのですが、私の荷物の中に衣類を半分入れておいたおかげで、慌てることなく過ごせました。こうしたちょっとした工夫が、思わぬトラブルから旅を守ってくれます。

自宅から空港へは宅急便を活用

私たちが実際に取り入れているのは、宅急便サービスを使ってスーツケースを空港まで送る方法です。出発便に間に合うように自宅から空港へ預ければ、当日は身軽に移動でき、電車やバスの乗り換えも楽になります。

さらに復路も空港から自宅へ送ってしまえば、帰国後に疲れた体で重い荷物を引きずる必要がありません。特にシニア世代には、この「往復宅急便利用」を強くおすすめしたいと思います。

大手宅急便会社では、空港便に特化したサービスがあり、通常荷物に比べて安価で対応しています。出す時はスーツケースのまま預ければOKです。

禁止品から便利グッズまで|機内持ち込み荷物の工夫

長時間のフライトを快適に過ごすためには、荷物の準備も大切です。必要なものを手元に置きつつ、禁止されている物品には注意しましょう。

禁止されているもの

飛行機に乗るとき、機内持ち込みにはいくつか制限があります。保安検査で止められないよう、代表的な禁止品を覚えておきましょう。

どんなに小さなものでもX線で見つかり、没収されてしまいます。

  • 液体類(100mlを超える容器)
    飲み物や化粧水などは100ml以下に小分けし、透明袋にまとめる必要があります。大きい容器は没収対象です。
  • 刃物や尖ったもの
    ハサミ、カッターナイフ、工具類は不可。爪切りや眉ハサミもNGです。
  • 可燃性・危険物
    オイルライター、ガス、花火、塗料などは持ち込めません。
  • スポーツ用品や工具
    ゴルフクラブ、バット、登山ストック、金づちなどは受託手荷物に預ける必要があります。
  • モバイルバッテリー
    リチウム電池は容量に制限があり、規定を超えるものは持ち込みできませんので、必ず手荷物に入れてください。
  • 金属類の身につけ品
    ベルトのバックルや金属製アクセサリー、金属のついた下着は検査で引っかかりやすいので、できれば外すか最初から身につけないとうにするとスムーズです。没収されることはありません。
一度、化粧ポーチに小さな爪切りを入れていたら、手荷物検査で見つかり探し出すのに一苦労した挙句、没収されて、旅先で購入する羽目になってしまいました。

なければ困るもの/あった方がいいもの

持ち込み必須

常備薬・パスポートや財布などの貴重品・搭乗券は必須です。さらに、乾燥対策のためにペットボトルの水(保安検査後に購入したもの)やリップクリームを手元に置くと安心です。

あると快適

快適さをぐっと高めてくれるのが「あると便利なもの」。例えば、首枕やアイマスク、耳栓は睡眠の質を大きく変えてくれます。また、軽い羽織りものやストールがあると、機内の冷房対策にも役立ちます。

さらにおすすめなのが、耳の気圧変化を和らげるためのガム。離・着陸時に耳が痛くなりやすい方は、ガムを噛んで耳管の通りを良くすると楽になります。

私も、以前に着陸時の耳詰まりで到着後も不快感が残ったことがあり、それ以来ガムを常備するようになりました。ガムはまた、歯磨き代わりに口の中をすっきりさせる役割もあるので一石二鳥です。

乾燥を和らげるマスクやフェイスシートも便利ですし、機内で眠るつもりならアイマスクや耳栓があると休息の質がぐっと上がります。

機内持ち込み手荷物は少ない方がいいですが、快適なフライトのお助けグッズで、嵩張らないものは積極的に取り入れると安心です。

私も、あるフライトで機内が思いのほか冷えていて、持参していたストールが大活躍しました。到夫は乾燥対策でマスクをしていたおかげで喉の痛みを防ぐことができたようで、事前のちょっと準備に助けられたと思いました。

 

機内での過ごし方|小さな工夫が大きな差に

飛行機内は湿度20%前後と砂漠並みに乾燥しています。呼吸や汗で水分が奪われ、気づかないうちに脱水気味に。

さらに長時間座り続けると血流が滞り、血液が濃くなり、シニア世代は特に注意が必要です。

こまめな水分補給を習慣に

喉が渇く前に、1時間にコップ半分~1杯を目安に少しずつ水をとりましょう。常備薬用にも水が必要になってきます。

長時間フライト便では、大抵の航空会社がペットボトルの水を乗客にサービスしてくれます。それでも不安でしたら、搭乗待合室に自動販売機などがあるので、あらかじめ購入しておくと安心です。

カフェインや甘いジュースは利尿作用があるため控えめにしておくと、体がぐっと楽になります。

アルコールはほどほどに

高度の影響で普段より酔いやすく、アルコールは脱水を進めます。眠りやすくても途中で目覚めやすく、睡眠の質も低下。血栓のリスクも高まるため、飲むなら普段の半分程度にとどめ、水と一緒にとるのがおすすめです。

あるとき、普段より多めに機内でワインを飲んだのですが、いつもより酔いが回り、気持ちが悪くなったことがありました。眠りも浅く到着後もスッキリせず後悔したことがあります。

2~3時間ごとに歩いてリフレッシュ

定期的に立ち上がり、通路をぶらぶら歩くだけでも足のむくみやだるさが軽減します。トイレに立つついでに軽い屈伸や伸びをするだけでも気分転換に。

歩いたかどうかで到着後の体の軽さが大きく変わりますし、エコノミー症候群予防にもできるだけ体をうごかしましょう。

フライトは旅の一部として楽しむ

若い頃は「できるだけ早く目的地に着くこと」が旅の目的でした。しかし今は、フライトそのものを旅の一部として楽しむことを考えるようになりました。

直行便で一気に行くのも良し、途中で一泊を挟んで寄り道するのも良し。大切なのは自分たちの体力や気分に合った方法を選ぶことです。

無理をせず、余裕を持って移動する。それが滞在先での時間をさらに心地よいものにしてくれるのです。

まとめ|シニア世代にこそ「快適な移動」を

フライトは単なる移動手段ではなく、旅の始まりを左右する大切な時間です。直行便で一気に行く方法もあれば、途中で一泊を挟んで体力を温存する方法もあります。

大事なのは、自分の体調や年齢に合った「無理のない移動方法を選択」をすること。

機内での快適さと安全のために、特に意識したいのは次のポイントです。

  • こまめな水分補給:喉が渇く前に少しずつ飲む

  • アルコールを控えめに:水と一緒に、量は普段の半分程度に

  • 定期的なストレッチや歩行:2~3時間ごとに立ち上がる習慣を

  • 荷物をコンパクトに:必需品+小さなお助けグッズで十分

シニア世代だからこそ「余裕を持った移動」を心がけたいもの。到着後の元気を残すために、フライトそのものを楽しみながら、旅をさらに豊かにしていきましょう。

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