ホテルから一歩も出られないニュピの日、食事はどうするのか、退屈しないのか、どんな準備をしておけばいいのか、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、バリ島ウブドで初めてニュピを迎える方や、シニア世代のご夫婦に向けて、私たち夫婦が実際に体験したニュピの日の過ごし方をお伝えします。
ニュピは「何もできない日」と思われがちですが、実際に体験してみると、バリ島ならではの静けさに包まれる特別な時間でもありました。
私たちは前日、滞在していたテガルサリ近くのスーパーで、果物やパン、カップ麺などを買って翌日に備えました。少し心配しながら迎えた当日の朝、普段なら聞こえるバイクの音や人々の話し声はなく、鳥のさえずりと風の音だけが響いていました。
あの静けさを、シニア夫婦の私たちがどう過ごしたのか、宿の選び方や前日の準備も含めて、そのままお話ししてみます。
*記事内の情報は2026年4月時点のものです。ニュピ当日の制限やホテル対応、交通機関の運用は年や施設によって異なるため、最新情報は事前に確認してください。

ニュピの朝。いつもなら聞こえるバイクや車の音がなく、静けさに包まれていました。
ニュピとは?前夜の熱気と、翌日の静寂を体験する日
ニュピは、バリ・ヒンドゥー教のサカ暦における新年にあたる行事です。
当日は朝6時から翌朝6時まで、労働や外出が禁じられ、空港や交通も止まり、バリ島全体が静寂に包まれます。観光客も例外ではなく、滞在先から外に出ることはできません。
一方で、前夜のウブドはまったく違う雰囲気になります。巨大な張り子人形「オゴオゴ」が、太鼓やガムランの音とともに街を練り歩き、普段の静かな街が熱気に包まれます。
事前に「丸一日ホテルにこもる」と知った時は、退屈するのではと心配しました。ところが実際に体験してみると、前夜の賑やかさがあるからこそ、翌日の静けさがより深く感じられました。
ニュピは「何もできない日」というより、バリ島ならではの静寂を味わう、特別な一日でした。
ニュピの時期に滞在するなら、前夜のオゴオゴもあわせて体験できる貴重な機会です。鑑賞場所や混雑の様子、準備段階の雰囲気については、別記事で詳しくまとめています。
▶︎ ウブドのオゴオゴ祭り|見どころ・場所別の違い・混雑対策
ニュピ当日|外出禁止の日に「何をする?」体験ベースの過ごし方
朝〜昼|音が消えた島で、ゆっくり暮らす
翌朝、耳を澄ますと、普段なら必ず聞こえるバイクの音や人々の話し声が一切なく、鳥のさえずりと風の音だけが響いていました。島全体が眠り続けているような、不思議な静けさです。
聞き慣れた庭を掃く箒の音もなく、誰も仕事をしていない朝は、日常の動きがすべて止まり、「暮らし」そのものが静かに休んでいるようでした。
昼間はホテルのテラスで、夫は写真を眺め、私は本を読む——ただそれだけの時間。「自分のためだけに、こんなにゆったり過ごしたのはいつ以来だろう」と思うほど、時間が穏やかに流れていきます。
会話も自然と少なくなり、静けさそのものが心を温めてくれます。
夜|真っ暗な空と星明かりが残る時間
夜になると街の灯はすべて消え、空いっぱいに星が瞬いていました。まるで宇宙に包まれているような夜空は、今も強く記憶に残っています。
ホテルスタッフから「島が活動を止めるのは、悪霊に“無人の島”だと思わせるため」という話を聞きました。ニュピは観光では触れられない、信仰と暮らしが深く結びついた行事なのだと実感しました。
ニュピは観光の合間の休息日でもあり、大好きなバリ・ウブドをしっかり味わう1日ともなります。
翌朝の始まり|清められた空気と再生を感じる時間
街が動き出す瞬間|「新しい年」の感覚
ニュピが明けると、やわらかな朝日が差し込み、街はゆっくりと息を吹き返します。澄んだ空気に、花の香りや湿った土の匂いが混じり、自然そのものが生まれ変わったようでした。
スタッフの「新しい年を迎えました」という言葉に、私たちの新年の挨拶とは少し違った、静かな喜びと安堵を感じました。
心が軽くなる理由|ニュピの余韻が残すもの
人々が通りに戻り、街が動き出す様子は、長い瞑想から静かに目覚めるよう。その空気感に、旅行者の私たちでさえ、何かがリセットされたような気持ちになります。
ニュピは、「何もしないことで新しい自分に生まれ変わる時間」のようです。そのような感覚を経験してからは、あえてニュピを滞在日程に組み込むようになりました。
ちなみに、ニュピは毎年3月前後(まれに4月)です。ニュピの日程は、インターネットで「バリ ニュピ 2027」などで検索すればわかります。
ニュピ当日に困らない準備|食料・灯り・通信のポイント
前日までに準備したい|食料・飲み物・軽食
ニュピ当日は外出ができず、ホテルの食事サービスも、多くは通常どおりではありません。そのため、前日までに次のような準備をしておくと安心です。
- ホテルにニュピ用の食事プランがあるか確認
- スーパーなどで食料を調達する
- 街で見かける「ランチパック予約」の案内を利用

私たちは、滞在していたプンゴセカンの宿(テガルサリ)の近くにあるスーパーで、果物・パン・カップ麺などを調達しました。特別なご馳走ではありませんが、それを分け合って静かに過ごす時間そのものが、忘れられない思い出になりました。

テガルサリ近くのスーパーCOCOで調達した、カップ麺や果物、パンなど。
ニュピを挟む滞在では、静かな環境とスタッフのサポートがある宿が安心です。私たちが長く滞在しているテガルサリには、どんな時も暮らしやすさがありました。
▶︎ テガルサリ|暮らすように過ごせる理由と実際の使い勝手
懐中電灯とWi-Fi|ホテルで確認したいこと
夜は完全な消灯となるため、小さなライトや懐中電灯があると安心です。中級以上のホテルでは、多くが客室に備え付けられています。
また、Wi-Fiはホテルによって対応が異なります。停電や制限がある場合もあるため、「ニュピ当日の通信環境」は事前に聞いておくことをおすすめします。
ニュピ当日の通信環境が不安な方は、SIM・eSIM・ホテルWi-Fiの選び方も事前に確認しておくと安心です。
▶︎ バリ・ウブド長期滞在の通信手段|SIM・eSIM・Wi-Fiの選び方
ニュピのホテル選び|「もしもの時」の安心感
ニュピ当日は、基本的にホテルの外へ出ることができません。そのため、ホテル選びでは「部屋で快適に過ごせるか」だけでなく、困った時に相談できる体制があるかも大切になります。
- 体調を崩したり、転倒などでケガをしたとき
- トイレのつまりや水回りのトラブルなどが起きたとき、
このようなとき、スタッフが常駐しているか、緊急時にどのような対応をしてもらえるかを、予約時やチェックイン時に確認しておくと落ち着いて過ごせます。
その上で、ニュピの日に体調を崩したときの備えを考えておきます。
ニュピの時に体調を崩したら|ホテル・保険・持参薬の備え
ニュピの日は基本的に外出できませんが、体調不良やケガなど、緊急時は受診のために外出対応が行われることがあります。
とはいえ、普段どおりに自由に動けるわけではないため、私たちは3つのことを準備しています。
海外旅行保険のアシスタンスサービスを確認しておく
ニュピにバリ島で滞在する時は、24時間日本語で相談できるアシスタンスサービス付きの海外旅行保険に加入しておくと心強いです。
体調を崩した時に、受診が必要かどうか、どの医療機関に相談すればよいか、キャッシュレス診療に対応できるかなどを確認できます。
▶︎ アシスタンスサービスでできること
滞在するホテルの対応を確認しておく
ニュピ当日に体調を崩した場合、ホテルがどのように対応してくれるかを、予約時やチェックイン時に確認しておくと落ち着いて過ごせます。
たとえば、次のような点です。
- 体調不良時にフロントへ相談できるか
- 緊急時に医療機関や車の手配を相談できるか
- スタッフが常駐しているか
高熱、強い腹痛、転倒によるケガ、呼吸苦など、受診が必要と思われる場合は、ホテルを通して対応してもらえることがあります。
特にシニア世代では、「少し休めば大丈夫だろう」と無理をせず、早めに相談することが大切です。
持参薬を少し多めに準備
ニュピ当日は薬局にも自由に行けません。そのため、普段使っている薬や、体調を崩した時に必要になりそうなものは、少し多めに準備しておくと安心です。
ただし、持参薬だけで無理に様子を見続けるのではなく、高熱や強い痛み、脱水症状などがある場合は、早めにホテルや保険会社へ相談するようにしています。
具体的な持参薬については、どのようなものが役立つかを別記事でまとめています。
▶︎ シニアが準備しておきたい持参薬リスト|夜中の体調不良に備える
シニア世代にとっての価値
60代になった今、体力や健康を気にしながら観光地を駆け回るより、静かに過ごす旅の時間が心に響きます。そんな私たちにとって、ニュピは理想的な「休息の日」となりました。
動かずに島を感じる——それがニュピの贅沢。人生や日々の生活を見つめ直すような穏やかな時間は、年齢を重ねてこそ味わえるものだと思います。
ニュピ体験を楽しむための Q&A
これまで何度も経験し感じたことは、オゴオゴあってのニュピということです。2つを体験することで、静けさの意味や深さが、よりはっきりと感じられるようになります。
はじめての方でも安心して過ごせるように、前夜と当日の流れを簡単にまとめました。
| 時期 | 主な出来事 | 体験ポイント | 準備すべきもの | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 前夜(オゴオゴ祭り) | 張り子人形・夜行進・祭り熱狂 | 写真・参加・祭り一体感 | カメラ・現金・軽装で | 混雑・盗難注意 |
| 当日(ニュピ) | 静寂・外出禁止 | ホテルこもり・読書など | 食料・懐中電灯 | 外出不可・Wi-Fi事前確認 |
ニュピはあえて何もしないことを楽しむための特別な一日だと感じます。
静寂がもたらす贅沢な一日
ニュピは観光のための一日ではありません。それでも、体験してみると旅の中で最も心に残る瞬間となりました。
前夜の熱狂、当日の沈黙、翌朝の再生。その流れはまるでひとつの物語のようで、今も鮮やかに思い出すことができます。
もし日程が合うなら、ニュピを避けるのではなく、バリ島ならではの特別な時間として受け止めてみるのもよいと思います。
▶︎ バリのガルンガンとクニンガン|10日間の流れと過ごし方・見ておきたい風景
▶︎ バリの祈りと暮らしカテゴリー一覧
ニュピの日程、外出制限、空港や交通機関の運用、ホテル内のサービス内容は、年や施設、地域の判断によって変わる場合があります。この記事は、私たちがウブドで実際に体験した内容をもとにした旅行記です。滞在を予定している方は、予約しているホテル、航空会社、在外公館、現地の公式情報などで、出発前に最新情報を確認してください。
ウブドにはこれまで20回近く訪れ、ここ15年ほどは毎年のように3~4週間の長期滞在を重ねてきました。ニュピもウブドで何度も過ごしました。他では味わえないニュピの1日をはじめ、バリならではの経験を、このブログでお伝えしています。


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