この記事は、バリ島ウブドで長期滞在を重ねてきたシニア夫婦が、実際に体験した「ニュピ(静寂の日)」の過ごし方をまとめた記録です。
ニュピとは何か、前夜のオゴオゴから当日・翌朝までの流れ、シニアや初めての方でも安心して過ごすための準備やホテル選びのポイントを、体験談を交えて紹介します。
ニュピ、オゴオゴをはじめバリ島の主要な行事全体をまとめた、行事の概略ガイドもあわせてご覧ください。
こんな悩みを持つ方のための記事です
- バリ島のニュピがどんな行事なのか、観光客としてどう過ごせばよいか知りたい
- シニア世代として、外出禁止の日を無理なく安心して過ごせるか不安
- オゴオゴ祭りの雰囲気や、前後の日程の流れを体験談で知りたい
この記事でわかること
- バリ島ニュピの意味と、前夜・当日・翌朝の具体的な流れ
- オゴオゴ祭りの見どころと、混雑時の注意点
- ニュピ当日に困らないための準備・ホテル選びの実例
- シニア夫婦が感じた「静寂の価値」と、旅としての魅力
ニュピとは?——“静けさ”で迎えるバリ・ヒンドゥーの新年
ニュピは、バリ・ヒンドゥー教のサカ暦における新年にあたる行事です。日の出から翌朝まで、人々は断食や瞑想を行い、島全体が活動を止めます。
労働も外出も禁じられ、空港までも閉鎖され、テレビやラジオは放送休止。夜になると街明かりは一切消え、闇と星明かりだけが残ります。観光客も例外ではなく、滞在先から出ることはできません。
事前にネットで「丸一日ホテルにこもる」と知ったときは、「退屈してしまうのでは」と心配しました。
ところが実際は、想像とはまったく違いました。時計の針が止まったかのように流れる静かな時間は、不便さよりもむしろ“贅沢な休息”と感じられたのです。
前夜のオゴオゴ——熱狂と喧騒の祭り
ニュピの前夜は、静寂とは正反対。村ごとに作られる巨大な張り子人形「オゴオゴ」が通りに現れ、太鼓やガムランの響きとともに練り歩きます。
悪霊を追い払うための伝統儀式ですが、観光イベントを超える迫力があります。特にウブドでは観光客も巻き込み、熱気は最高潮に。松明の炎に照らされながら揺れるオゴオゴの姿は、ただ圧倒的でした。

観光客も一緒に盛り上がる「オゴオゴ」祭り

モンキーフォレスト通りでは、歩道の縁石に座って鑑賞。

王宮と市場の間で、ライトアップされた「オゴオゴが’競演」
子どもたちの歓声、大人たちの興奮、その場にいた私たちもまるで村の仲間になったかのような一体感を覚えました。
クライマックスはオゴオゴの焼却。スタッフから「一年の厄を燃やすんですよ」と教わり、炎が夜空を染め上げ、祭りの熱狂が清々しさに変わるのを感じました。
バリ・ウブドで出会う圧巻の「オゴオゴ」体験記|シニア夫婦が感じた迫力と温かさ
ニュピ当日——止まった時間を味わう
翌朝、耳を澄ますと、普段なら必ず聞こえるバイクの走行音や人々の話し声が一切なく、鳥のさえずりと風の音だけが聞こえます。島全体が眠り続けているような不思議な静けさでした。
昼間はホテルのテラスで夫は写真を眺め、私は本を読んですごしました。「自分のためだけにこんなにゆったりした時間を持ったのはいつ以来だろう」と振り返りました。会話も自然に穏やかになり、静けさに包まれた時間がゆっくりと流れ、心を温めてくれます。
夜になると、街の灯が消えているため、見上げた空いっぱいに星が瞬いていました。まるで宇宙そのものに抱かれているような夜空。その美しさは、今も記憶に焼き付いています。
島が活動をとめるのは、「悪霊に島が無人だと思わせるため」とホテルのスタッフが教えてくれたことがあります。ニュピは観光では決して触れられない、信仰と暮らしが強く結びついた行事なのだと実感しました。
ホテルも原則サービスをストップするため、前日までに食料を確保しなければなりません。
プンゴセカンのホテル「テガルサリ」に宿泊した時は、近くのスーパーCOCOやベーカリー・Monsieur Spoonで前日に果物やパン、カップ麺を調達。特別なご馳走ではなくても、それを分け合いながら過ごす時間そのものが思い出になりました。

宿泊のテガルサリ近くのスーパーCOCOで前日調達
テガルサリ特集
本場のフランスパンやクロワッサンが美味しい「Monsieur Spoon」をご紹介記事もご覧ください。
Monsieur Spoon|本格フランス仕込みのパン
ホテルによっては前日に食事を用意してくれたり、当日も食事を提供するところがあるので事前に確認すると良いです。
10年ほど前に宿泊した「コマネカ・ラササヤン」は前日に用意してくれました。

コマネカラササヤンに宿泊時にホテルが用意して倉田食事
ウブド中心で見つけた小さな楽園|コマネカ・アット・ラササヤンで味わう癒しの休日
翌朝の始まり——清められた空気と再生
ニュピが明けると、やわらかな朝日が差し込み、街はゆっくりと息を吹き返します。前日にはなかった澄んだ空気に、花の香りや湿った土の匂いが混じり、自然そのものが生まれ変わったかのようでした。

ニュピの朝は、いつもと違う朝のように感じるのが不思議
スタッフの「新しい年を迎えました」という言葉に、安堵と喜びが重なります。人々が通りに戻り、街が動き出す姿は、長い瞑想から静かに目覚めるようでした。私自身もなんだか心が軽くなったようで、「新しい自分で一日を始められる」と感じました。
シニア世代にとっての価値
60代になった今、体力や健康を気にしながら観光地を駆け回るより、静かに過ごす旅の時間が心に響くようになりました。そんな私たちにとって、ニュピは理想的な「休息の日」でした。
動けないのではなく、動かずに島を感じる——それがニュピの贅沢。人生を見つめ直すような穏やかな時間は、年齢を重ねてこそ味わえるものだと感じています。
ニュピ体験を楽しむための準備と Q&A
ニュピを心地よく過ごすには準備も大切。私たちは前日にフルーツや軽食を用意し、ホテルもWi-Fiや食事の安心感を基準に選びました。
夜は灯りが一切消えるため、小さなライトがあると安心です。中級以上のホテルなら部屋に懐中電灯が置かれています。
最も大事なのは「不便」と考えず、「非日常こそ旅の贅沢」と受け止める心構え。これがニュピを楽しむ最大の秘訣です。
| 時期 | 主な出来事 | 体験ポイント | 準備すべきもの | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 前夜(オゴオゴ) | 張り子人形・夜行進・祭り熱狂 | 写真・参加・祭り一体感 | カメラ・現金・軽装で | 混雑・盗難注意 |
| 当日(ニュピ) | 静寂・外出禁止 | ホテルこもり・読書 | 食料調達・懐中電灯 | 外出不可・Wi-Fi事前確認 |
| 翌朝 | 街が再生・清々しい空気 | 朝散歩・新年の気分 | 帽子・飲み物 | 余韻の静けさ楽しむ |
こうした実体験を踏まえると、ニュピは「何もできない日」ではなく、あえて何もしないことを楽しむための特別な一日だと感じます。
まとめ|静寂がもたらす贅沢な一日
ニュピは観光のための一日ではありません。それでも、体験してみると旅の中で最も心に残る瞬間となりました。
前夜の熱狂、当日の沈黙、翌朝の再生。その流れはまるでひとつの物語のようで、今も鮮やかに思い出すことができます。
もしバリ島を訪れるなら、ぜひ旅程にニュピを組み込み、この島ならではの「静寂の贈り物」を味わってみてください。
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