この記事は、バリ島ウブドで長期滞在を重ねてきたシニア夫婦の実体験をもとに、ガルンガンからクニンガンまでの10日間を、無理なく・静かに味わう旅の視点でまとめた記録です。
ペンジョールが立ち並ぶ風景、祈りの時間、見学時の注意点まで、初めての方にも分かりやすくお伝えします。
こんな悩みを持つ方のための記事です
- バリ島の祭礼に興味はあるが、観光客としてどう関わればよいか分からない
- シニア世代として、歩き回らず無理なく行事を楽しめるか不安
- ガルンガン・クニンガンの違いや流れを、実体験ベースで知りたい
この記事でわかること
- ガルンガンからクニンガンまでの流れと、それぞれの見どころ
- ペンジョールやバロンに込められた意味と、地域ごとの違い
- 見学・写真撮影時に気をつけたい服装やマナー
- シニア世代・初訪問者でも安心して楽しむための歩き方・過ごし方

ガルンガンを前に、ペンジョールの飾り付けを行う人々。祭りは準備の時間から静かに始まっています。
初めて目にしたペンジョールの風景【体験談】
30年前のウブドで見つからなかったペンジョール
今では「バリの象徴」として知られるペンジョールですが、30年前、初めてバリを訪れたときの私たちは、その存在すら知りませんでした。
旅行雑誌で見たことはあっても、実際の街では見つけられず、「一体どこへ行けば見られるのだろう」と不思議に思ったことを覚えています。
ウブドの通りが一変した日|祭礼と結びついた瞬間
20年ほど前、ウブドに滞在中、散歩に出かけたときのことです。通りにずらりとペンジョールが立ち並び、街の表情が一変していました。

ペジョールの連なりが美しいモンキーフォレスト通り
夫は夢中でカメラを構え、私は「なぜ今日なのか」が気になり、ホテルスタッフに尋ねました。
そこで初めて、「ペンジョールはガルンガンの祭礼に立てられるもの」だと知ったのです。
裏通りを行くと、表通り以上にペンジョールが幾重にも重なりあい、日常に根ざした伝統を強く感じることができました。

ハノマン通りから入っと通りの見事なペンジョール
さらに、ウブド周辺には、素晴らしいペンジョールを見ることのできる村もあります。公共交通機関TMDバスでデンパサールに出かける途中で見かけたものは、ウブドでは見ることができない手の込んだ立派なものでした。

デンパサールに向かうTMDバスから見た、ウブドではあまり見かけない豪華なペンジョール。
ガルンガンからクニンガンまでの10日間とは
「信仰の島」と呼ばれるバリ。ガルンガンからクニンガンまでの10日間は、暮らしと祈りが最も濃く重なり合うときです。旅行者である私たちも、非日常の世界に引き込まれました。
ガルンガンとクニンガンの違い|「迎える日」と「送る日」
ガルンガンとクニンガンは、バリ・ヒンドゥー教の中でも特に大切にされている祭礼です。ガルンガンは、神々と祖先の霊が地上に降りてくる日。
その10日後に訪れるクニンガンは、迎えた祖先と神々を再び天へ送り返す日とされています。
この10日間は、観光地ではない、バリ本来の姿を見ることができます。
旅行者でも感じられる「祈りの季節」の空気
私たちが初めてこの時期をウブドで過ごしたとき、街全体の空気がいつもと違うことにすぐ気づきました。通りには竹で作られたペンジョールが立ち並び、人々は正装姿で寺院へ向かいます。
観光客である私たちも、ただ歩いているだけで、その祈りの流れの中にそっと迎え入れられるような、不思議な感覚を覚えました。
ガルンガンとクニンガンの見どころ
ガルンガン|準備と祈りの朝
「ガルンガン」は210日ごと(必ず水曜日)に繰り返されます。神々が地上に降り、祖先の霊が家族のもとに戻ってくる日とされます。
数日前から家々では準備が始まり、前日には道の両脇にペンジョールが立ち並びます。
当日の朝、通りを歩くと、正装した女性たちが供物を並べて祈る姿を目にしますが、いつも以上に豪華な供物と長く続く祈りに、日常に根ざした信仰の深さを感じました。
クニンガンの朝|送りの祭礼
ガルンガンの10日後の土曜日に巡ってくる「クニンガン」は、バリ・ヒンドゥー教において特別に重んじられる日です。ガルンガンで迎えた祖先や神々を、再び天へ送り返す「締めくくり」の儀礼にあたります。
夜明け前から人々は沐浴で身を清め、持っているもので最も美しい正装に身を包みます。
通りは、寺院に向かう正装姿の人々が行き交います。私たちも早朝、ウブド中心部にある、ペンジョールが美しくならぶスリウェダリ通り沿いの寺院へ向かいました。
女性たちはソカシと呼ばれる供物の籠を頭に載せ、背筋を伸ばして歩いています。舞踊のような華やかさとは異なり、日々の暮らしに根ざした、凛とした美しさがありました。
男性たちは白い衣装にサロンをまとい、額に布を巻き、静かに寺院へと足を運びます。子どもたちも皆正装姿です。

子どもたちも正装姿。頭のウダンは自分で巻いたのか、まだ未完成なのげ微笑ましい。
家族で連れ立って出かける様子からは、祈りの行事を家族単位で大切に受け継いでいることが伝わってきます。

クニンガンの朝、寺院に向かう親子。「写真を撮ってもいい?」とひと声かけると、笑顔が返ってきます。
クニンガンの朝、寺院の周囲は正装をした人々が行き交い、僧侶の祈りとともに供物が捧げられます。

クニンガンの朝、寺院の周辺ではどこも正装をした人々が供物を持って集まってきます。
ハノマン通りの寺院でも、クニンガンの朝は、静かな祈りの風景が見られます。
白い装束をまとった人々が集まり、僧侶の祈りに合わせて供物が捧げられていきます。観光地のウブドですが、この時間だけは村の人々の祈りの場に戻るような、落ち着いた空気が流れています。

クニンガンの朝のハノマン通りの寺院。
クニンガンの儀式は午前中で終わります。
正午が近づくと人々は次々に帰路につきます。祭礼を終えた人々のほっとしたような柔らかな笑顔がとても印象的でした。

祭礼を終え、家路につく家族。穏やかな表情が印象的でした。
ガルンガン・クニンガン|2026年の日程
ガルンガン:6月17日(水)/クニンガン:6月27日(土)長期滞在を計画するなら、この日程に合わせるのもおすすめです。
ペンジョールに映る、家庭と地域の祈り
ガルンガンからクニンガンの時期、街を歩いていると、通りごと・家ごとにペンジョールの表情が異なることに気づきます。
椰子の葉だけで清楚にまとめられたもの、果物や米をふんだんに使った華やかなもの。基本的には一軒につき一本ですが、結婚があった家では二本立てられ、家族を迎える喜びの大きさがそのまま表現されていました。

婚礼があった家では2本の、一際見事なペンジョールが立ちます。
ペンジョール巡りは、シニア世代の私たちにとって、歩き回らずとも「歩ける範囲をのんびり散策するだけで十分楽しめる」ことが魅力でした。
ホテルスタッフにお願いすれば、郊外の村まで車で案内してくれることもあります。車窓から眺めるペンジョールの連なりも、また格別です。
ウブド・プンゴセカンにあるホテル「テガルサリ」に滞在していたとき、郊外の、ペンジョールがとても美しい村へ連れて行ってもらったことがあります。
道の両側に立つペンジョールがゆるやかな弧を描き、その下を車で走り抜けていく——観光地らしさはなく、静かな村の日常の中を少しだけ通らせてもらった、そんな感覚でした。
ペンジョールが美しいスリウェダリ通り
王宮から東へ徒歩5分ほどのスリウェダリ通りは、普段、観光客の姿もあまり見かけない静かなところですが、ガルンガンからクニンガンの時期には一変します。
ペンジョールが競うように並び立ち、その美しさはウブドでも1、2を争うほど。
祭礼の日には壮大なペンジョールの下を、多くの人々が正装姿で寺院へと向かう姿も見られ、この時期はぜひ訪れたい場所です。

クニンガンの朝、正装をして寺院に向かう人々

3年前の3月、この通りを二度訪れました。1度目は連なるペンジョールの美しさに、2度目はクニンガン当日の祈りに向かう人々の凛とした姿に心を打たれました。サロン姿で歩いていた私たちに、地元の方が温かく笑顔を返してくれたことも思い出になっています。
▶︎ ウブド街中の移動|徒歩とTMDバスで疲れない動き方
祈りの日常
ペンジョール作りと家族の営み
ガルンガンが近づくと、10m以上もの竹を、トラックやバイクで運ぶ姿をよく目にします。

その竹に男性がヤシの葉や布を巻きつけていきます。長年の経験が体に染み込んでいる手慣れた手捌きです。
特別な行事の準備でありながら、そこには日常の作業のような落ち着いた空気が流れていました。

素晴らしい手技。
女性や子どもが花などの飾りを加え、家族全員で1本のペンジョールを完成させる過程そのものが祈りであり、信仰を次世代に伝える時間となっています。

家族総出でペンジョールを仕上げていく
暮らしのなかに根付く祈り
観光客には大変そうに見える準備や経済的な負担も、バリの人々にとっては特別なことではなく、暮らしの一部として受け継がれてきた日常です。
ニュピを迎えるためのオゴオゴ作りや寺院の祭礼、日々欠かさず行われる供物の準備と並行して、ペンジョール作りも自然に繰り返されます。
子どもたちも家族の手伝いをする中で、祈りや行事の意味を少しずつ体に覚えていきます。
その姿に、暮らしと信仰が切り離されることなく、一体となって息づいていることを強く感じました。
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▶︎ バリ島のニュピ|外出できない日をどう過ごす?準備とホテル選びの実体験
バロンがつなぐ祈りの時間
日常に現れるバロン|子どもたちのバロン練り歩き
この時期、通りでは男の子たちが太鼓や鐘を鳴らしながらバロンを操る姿をよく見かけます。

バンジャールの資金のために、お布施を集めてまわるのです。お布施をもらった子どもたちの顔が誇らしげに輝いていたのを思い出します。

ウブド市場のなかでも、にぎやかに太鼓と鐘の音が響いていました。私たちがお布施をすると、満面の笑顔がかえってきました。
郊外で味わう祭礼|タロ村のバロン祭りとペンジョールの連なる風景
ガルンガンからクニンガンにかけての期間は、ウブド中心部だけでなく、郊外の村々でもさまざまな祈りの行事が行われています。
そのひとつが、ガルンガン翌日の「マニス・ガルンガン」に開かれる、タロ村のバロンの祭礼です。遠く離れた村々から何時間もかけて、楽隊とバロンの華やかな行列が寺院に集まってきます。

バロンを従え周辺の村々からタロ村の寺院に向かう行列
境内の前には、村々から集まった20近くのバロンが並びます。金色に飾られた姿はそれぞれ少しずつ表情が異なり、並ぶだけで強い存在感があります。
白い正装の人々が周囲に集まり、寺院の前は祭礼の日ならではの厳かな雰囲気に包まれていました。

ガルンガンの翌日(マニス・ガルンガン)、タロ村のバロン祭り。寺院に並ぶ20近くのバロンが壮観。

ウブドからタロ村への道中、車窓から見たペンジョールで飾られた村。
道中で見たペンジョールの連なりと、寺院でのバロンの姿が重なり合い、この日の体験は、ガルンガン期の祈りの広がりを実感させてくれる、忘れがたい思い出となりました。
シニア世代の楽しみ方|歩き回らず“暮らしの中で見る”
シニアになって実感するのは、旅では「無理をせず楽しむこと」が何より大切だということ。長期に滞在するなら尚更のことです。
この祭礼を挟む10日あまり、朝の散歩で朝日に照らされたペンジョールを眺め、夕暮れにはアーチの下を歩きながらレストランへ。途中で子どもたちの行列に出会えば拍手を送り、笑顔を交わす。
観光地を急いで巡らずとも、毎日の暮らし自体が楽しみとなる。シニア世代にこそふさわしい旅の形です。
ガルンガン・クニンガンQ&A|日程と公式情報の調べ方
見学の際は、祈りの妨げにならない距離を保ち、静かにその場の空気を尊重することが大切です。
ガルンガン・クニンガンなど祭礼見学や、寺院見学の時の服装についての考え方や、実際にどうすれば良いかをまとめた記事も参考にしてください。
▶︎ バリ島の正装と服装・観光マナー|寺院参拝・行事で失礼にならない基本
暮らしと祈りが交わる10日間を、無理なく味わう
ガルンガンからクニンガンまでの10日間は、バリ島が最も「バリらしい」姿を見せる特別なときです。
ペンジョールが並ぶ通りを歩き、祈る人々に出会い、子どもたちの舞に迎えられる――それは観光を超えた心に刻まれる体験でした。
次に訪れる際は、ぜひこの10日間の、暮らしと信仰が重なる瞬間に立ち会ってみてください。
▶︎ ウブドの街歩き|足元・交通・夜道の注意点と安全に歩くコツ
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