バリ文化・伝統・祭り

バリ・ウブドでで出会う圧巻の「オゴオゴ」体験記|シニア夫婦が感じた迫力と温かさ

バリ文化・伝統・祭り

バリ・ウブドで毎年春に開催される「オゴオゴ」は、私たち夫婦にとって何度体験しても新鮮な驚きを与えてくれる伝統行事です。

初めて見たときの衝撃、二度目に感じた地域ごとの違い、さらに三度目には地元の人々と肩を並べて見物し、まるで祭りの一員になったような一体感を味わいました。

今回は長期滞在のシニア夫婦の視点で、ウブドで体験できるオゴオゴの魅力をたっぷりとお届けします。観光客でも安心できる観覧方法や、制作現場で出会った職人の熱意など、旅のヒントにもなるエピソードを交えてご紹介します。

オゴオゴ(オゴオゴ祭り)とは?

オゴオゴ」とは、竹や木で骨組みを作り、紙や布で肉付けを施した巨大な人形のこと。鬼や魔物をかたどったその姿は迫力満点で、ユーモアあふれるものから恐ろしくリアルなものまで多彩です。

ニュピ(バリ暦の新年)の前夜、各バンジャール(地域コミュニティ)の男性たちが担ぎ手となり、ガムランの演奏とともに大通りを練り歩きます。

フィナーレには広場でオゴオゴを燃やし、悪霊を祓って新しい年を迎える――バリの人々が長年守り続けてきた「破壊と再生」の儀式でもあります。

毎年新たに作られるため、その年ごとにテーマやメッセージが異なり、「今年はどんなオゴオゴが登場するのか」と地元の人たちの間でも大きな話題になります。

ウブドでのオゴオゴ体験が特別な理由

芸術家が多く暮らすウブドでは、オゴオゴも単なる人形ではなく「芸術作品」として仕上げられます。初めて王宮前で見たとき、細部まで施された彩色や飾りに感動し、「工芸品を超えた舞台芸術なのだ」と思いました。

夕暮れが近づくと、王宮前や市場周辺の通りには観光客と地元の人々が次々に集まります。
やがて力強いガムランの音とともに巨大なオゴオゴが現れると、一気に空気が変わり、町全体が異世界に変貌するのです。

さらに、観客を巻き込む掛け声や踊るように動かされる人形は見応え十分。ライトアップされた王宮を背景に並ぶオゴオゴたちは、まさにウブドならではで、壮観の一言です。

当日は、夕暮れが近づくと王宮前広場や人気の通りに、地元の家族連れや観光客が続々と集まり始めます。

そして、各バンジャール自慢の「オゴオゴ」が力強いガムラン演奏とともに登場すると、観客から一斉に歓声が上がり、通りは一気に非日常の空気に包まれます。

ウブド市場の前で、集まってきたオゴオゴたちが競演し、祭りは最高潮に。

ライトアップされたウブド王宮をバックに、細部まで作りこまれたオゴオゴが一同に会する。しかも芸術の村ウブドの、熟練したガムラン奏者達の演奏も競演するという、ウブドならではの贅沢な光景が繰り広げられるのです。

観覧スポット別おすすめ体験

ウブドでオゴオゴを最大限に満喫するためには「観覧スポット選び」も重要です。王宮前を中心に、南北に伸びるモンキーフォレスト通りと西のビスマ通りが主なパレードルート。

これらの通りでは毎年個性的なオゴオゴが行き交い、場所ごとに少しずつ雰囲気が異なります。私たちは毎年違う観覧方法を実践し、それぞれに感じたメリットや注意点をまとめました。

王宮前広場

ウブド王宮前は最も盛り上がるエリア。オゴオゴ同士が競演する場面もあり、写真撮影にも絶好です。オゴオゴ鑑賞の「王道スポット」としておすすめです。

私たちは一度、ホテルのスタッフ勧められてパレードの前日に王宮前通りのレストラン「Nomad(ノマド)」を予約。ここは通りより高いところに席があるため、ゆったり食事をしながらイベントを楽しめました。トイレも利用できてとても助かりました。
市場前広場で見たこともありますが、17時半には良い場所は埋まっていました。つぎは17時前には場所を確保しなければと思いました。

モンキーフォレスト通り

王宮から南へ伸びるこの通りでは、地元の人たちも観光客も、歩道の縁石やショップの入り口などに腰をおろして、つぎつぎに通りすぎるオゴオゴを見物。

混雑度は王宮前よりもやや抑えめなので、落ち着いて観たい方や、ご高齢・お子さま連れにもおすすめです。「人混みが苦手」という方はぜひこちらを!

私たちは、ショップの入り口階段に腰を下して楽しみました。目前に迫るオゴオゴの大きさと担ぎ手たちの掛け声やガムランを間近で聞くことができ大満足。周りで見物する人たち同士で場所を譲り合ったり、子ども達の笑顔にも出会え、温かな熱気がありました。

ビスマ通り

町の中心から少し外れた静かな通り。道幅が狭く観客の声が響き合うため、一体感をより強く感じられます。混雑を避けたいシニア世代には特におすすめ。写真撮影も意外としやすい穴場エリアです。

以前、私たちは過去に人混みでいっぱいの王宮前からスマ通りへ移動したことがありましたが、落ち着いてじっくりと見物できました。地元の人たちの歓声がオゴオゴを包むように響き、熱気を直に感じられました。

制作現場で見つけた地域の情熱

オゴオゴ制作現場の見学は、滞在中だけの“とっておき体験”です。各バンジャールで、竹を組み、鬼の体を紙で覆い、色を重ねていく姿はまるで巨大なアート作品を仕上げていくようでした。

制作途中のオゴオゴは、最初は骨組みだけで何の形か分かりませんが、だんだん顔や手足ができ、仕上げの日にはきらびやかな装飾まで施されて圧倒的な存在感です。

毎日少しづつ出来上がっていくのを追っていくことで、当日の迫力がさらに胸に響くものになります。

見応えあるオゴオゴを作っている場所は、「モンキーフォレスト通りのサッカー場」と「王宮の西側のカジェン通り」です。

シニア旅行だからこそ実践したい鑑賞&滞在テクニック

大規模なイベントゆえ、混雑は避けられませんが、シニア世代でも安心して楽しめる工夫はたくさんあります。私たちが実践してきたポイントをピックアップします。

  • 早めに到着:王宮前なら17時までに場所を確保。
  • 座れる工夫:折りたたみ椅子やクッションがあると快適。
  • レストラン予約:数日前に席を確保すれば混雑回避。

  • 静かな観覧地:人混みが苦手ならビスマ通りへ。

  • ホテル選び:王宮やモンキーフォレスト通りに近い宿だと、疲れたときすぐ戻れて安心。

オゴオゴ祭りは、年によって場所やコース、開始時間が多少違ってきます。事前にホテルで確認しておくと安心です。

まとめ|オゴオゴとニュピ、その対比の美しさ

熱気あふれるオゴオゴの翌日は、一転して島全体が静寂に包まれる「ニュピ」

灯りも音もなく、町も交通も完全にストップします。前夜の熱狂と、翌日の静けさ。この対比こそが、私たち夫婦にとって忘れられない体験でした。

まるで心のリセットボタンを押すような時間。バリの自然と文化に身をゆだねながら、自分自身を見つめ直せる特別な瞬間です。

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